研究課題/領域番号 |
24592684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
小嶌 祥太 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10388259)
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研究分担者 |
杉山 哲也 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20298764)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 緑内障 / 濾過手術 / ハイドロゲル / 線維芽細胞 / マイトマイシン / 眼圧 / 濾過胞 / 徐放 |
研究概要 |
今までの研究で、イヌ緑内障濾過手術モデルにおいて、ハイドロゲル単独術中結膜下留置により、より長期に濾過胞や眼圧下降作が維持され、瘢痕も抑制されることが示された。さらにキマーゼ阻害薬包含ハイドロゲルを用いるとその作用がより長期に維持されることが示され、キマーゼ阻害薬の徐放作用が効果的であることが示された。そこで昨年までの研究において、実際に臨床で使用されている、線維芽細胞増殖阻害作用のあるマイトマイシンCをハイドロゲルに浸透させ、これを徐放させて眼圧下降、濾過胞維持、および組織学的検討を加えることとなった。実際のモデル眼への応用の前に、ハイドロゲルを浸透させたマイトマイシンCをin vitroにて徐放させてその濃度を確認したところ、浸透させた濃度0.4mg/mlより遙かに低い濃度にて徐放させることがわかった。そこで、家兎4匹8眼を使用し、片眼を処置眼、両眼を対照眼として実験を行った。処置眼では、通常の緑内障モデル眼を作成し、結膜下にマイトマイシンCを包含したハイドロゲル5x5mmを留置、対照眼では緑内障手術モデル眼でマイトマイシンを含んだスポンジを結膜下に留置した後に除去し、生理食塩水で洗浄し、両眼とも結膜を縫合した後に、4週間後まで眼圧と濾過胞の変化を観察、4週間後に眼球を摘出して組織学的検討を行った。結果、2匹は2週間後の測定後に死亡したため、今回の検討は2匹4眼のみとなった。眼圧はややばらつきはあったものの、処置眼と対照眼に差は無かった。組織学的検討では、処置眼と対照眼ではコラーゲンの密度に差があり、vimentin染色、α-smooth muscle 抗原染色にても両群に違いが認められ、徐放により安全な濾過手術が行われる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究実績の概要】にも示したとおり、pilot studyでの実験動物が測定途中で死亡したため、結果に反映できる数が少なくなった。ただし、2匹4眼では実験が達成され、予想通り、眼圧の下降作用は処置眼、対照眼とも大きな差がなかったが、組織学的変化では差が生じて、マイトマイシンCのハイドロゲルによる徐放が、ほり安全活効果的に濾過胞維持および眼圧下降作用を生じる可能性が示唆された。これらより、今後の実験指針をたてることが可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、死亡した2匹の追加を行い、マイトマイシンc包含ハイドロゲルの緑内障手術モデル眼における効果と安全性を確認する。その後、他の群にてより長期(3カ月程度)の眼圧変化、組織学的変化を確認し、さらにTGF-βやROCK阻害薬などをハイドロゲルに包含して同様の実験を行い、どの薬剤がより効果的かつ安全に使用できるかを確認していく。 イヌ2頭が死亡したため、確定的な結果が得られず、新たな実験ができず未使用額が生じた。上記実験を遂行するため、イヌ緑内障手術モデル眼を作成する目的でイヌや薬剤購入に未使用額を使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度と同様に、イヌ緑内障手術モデル眼を作成するためにイヌや麻酔薬、塗擦薬などを購入する必要がある。さらに、上記マイトマイシンC、ハイドロゲル、TGF-βやROCK阻害薬などの試薬を購入する必要がある。組織学的検討には、染色液、処理液など化学薬品、切片作成の物品など様々な消耗品を使用する。 本年度にイヌ2頭が死亡したため、確定的な結果が得られず、上記の如く新たな実験ができず未使用額が生じた。上記実験を遂行するため、イヌ緑内障手術モデル眼を作成する目的でイヌや薬剤購入、組織学的検討に必要な物品購入に未使用額を使用し、さらに本次年度で実験予定であるRho kinase阻害薬など、様々な薬剤購入や、イヌ購入に使用する。
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