研究課題
iPSおよびES由来細胞からの分化組織を進行した変性網膜下に移植して、前年度より詳細に生着を観察した。現在の分化方法で分化17日以前の組織で有意に移植後移植片内の視細胞層構造が保たれ、色素上皮上に生着したものでは電顕においてもほぼ生体内とかわらない視細胞外節構造の形成がみられた。分化11日以降17日以前の分化組織では、構造をたもったままホストの双極細胞と接触する視細胞がみられた。免疫電顕は技術的な困難がまだ克服されておらず、かわりに今年度は立体的な詳細な免疫組織染色による解析を試みた。この方法により、移植片の視細胞シナプス末端に前シナプスマーカーが存在し、さらにホストの双極細胞の軸索末端が共存する像を観察することができ、形態的にシナプスを形成している可能性が示唆された。また、この方法から、ホスト―グラフト間のシナプス形成機序に関わる考察を得た。B6系統のマウスがようやく使用可能となり、変性網膜ではより明瞭な形態的シナプス形成像が観察できたが、同系移植の方が良いかどうかは今後更に検討が必要である。多電極アレイによる解析では光応答は再現性よくとれたものの、ホストからのシグナルが取得できているか確認するため、光刺激とともに薬剤遮断実験等をあわせて行った。また組織像と照合しながら解析できるよう、前述の免疫染色立体的解析をあわせて行う系を立ち上げた。機能については引き続き検討を行う。あわせて行動解析を行うため、ショックアボイダンスのシステムを取り入れた。
2: おおむね順調に進展している
免疫電顕についてはまだ条件検討を要するが、ホストグラフト形成に関する知見を得る事が出来たという点で大きな進歩があり、平成25年度の目標はおおむね達成した。
電気生理学的手法を含め、行動解析を含めて機能解析を重点的に行う。同系(B6)のマウスも使用可能になったことから同系移植の有利性についても検討する。移植時の添加因子についても検討を行う。また上記目的手段の一つとして、ホストグラフトのシナプス形成をより定量的に評価するよう遺伝的ラベリングの系を追加検討する(ホスト―ホスト、グラフト―グラフト間のシナプスとを区別する系の必要性が今年度の研究からわかってきたため)。
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Stem Cell Reports
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http://retinastem.jp/