研究課題/領域番号 |
24592695
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奈良 啓悟 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00432477)
|
研究分担者 |
福澤 正洋 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (60165272)
大植 孝治 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50314315)
上原 秀一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00448060)
上野 豪久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10456957)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 小児がん / Survivin / 化学療法 |
研究概要 |
survivinは、アポトーシス抑制と細胞分裂調節の機能を有するタンパク質で、治療のtargetとして注目されている。小児肝芽腫でのsurvivin発現に関する検討はなく、肝芽腫組織での発現を免疫組織学的に検討し、化学療法前後でのsurvivin発現に関する組織学的変化を検討した。1995年から2010年に当科で加療した肝芽腫患児16例を対象とした。全例、生検により診断確定したのち、化学療法を施行し、摘出術を行っていた。その生検標本、摘出標本を対象とし、survivinの発現を免疫組織学的に検討した。染色結果は0~3+での半定量法で評価した。また免疫組織学的検討が実際の腫瘍組織におけるsurvivinのmRNA発現と合致するか、定性的PCR法を用いて検討した。病理組織学的にsurvivinは腫瘍組織に一致して、陽性であった。生検組織におけるsurvivin陽性組織は12/16 (75%)であった。一方、化学療法後の摘出標本では残存腫瘍細胞に一致して、survivin陽性組織を認めた。その陽性率は16/16 (100%)であった。また生検標本と化学療法後の摘出標本でのsurvivin発現強度を比較すると、生検標本での発現強度は平均1.01+であったが、化学療法後の摘出標本では2.21+であり、化学療法前に比較し、有意にsurvivin発現強度の増強を認めた。PCR法での検討では免疫組織学的検討による結果との解離は認めなかった。 従って化学療法後ではよりアポトーシスを回避しうる腫瘍細胞が残存していると考えられ、survivin高発現細胞群に対する治療は再発、転移抑制の点から重要であると考えられる。この結果を早速、英文論文とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫組織学的検討は順調に経過し、論文とすることが出来た。しかしサバイビンの阻害薬であるYM-155(アステラス製薬)の供給が特許元からしばらく得られることが出来ず、ようやく入手した。またサバイビンをsiRNAでinhibitする実験もようやくその抑制がかかることを確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
サバイビンを特異的に阻害するSi-RNAによりサバイビン発現の低下を定量的RT-PCR法及びWestern blot法により確認したので、サバイビン発現低下による腫瘍細胞増殖抑制効果をWST assayにより検討し、またapoptosis亢進の有無を検討する。また、新規サバイビン発現抑制剤であるYM155によりサバイビンそのものの発現を抑制し、同様の効果が得られるか否かを検討する。神経芽腫細胞株、神経芽腫細胞株、横紋筋肉腫細胞株を免疫不全マウス皮下に移植し、YM155を皮下投与してin vivoでの腫瘍増殖の抑制効果を検討する。さらに移植腫瘍の標本を作製し、腫瘍増殖抑制効果、apoptosisの亢進効果を組織学的に確認する最終段階に入る。
|
次年度の研究費の使用計画 |
以上の実験に際しての実験器具、ならびに結果の公表に際する学会旅費、論文掲載に使用する予定である。
|