研究課題/領域番号 |
24592696
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柳 佑典 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30596664)
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研究分担者 |
田口 智章 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20197247)
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50420609)
林田 真 九州大学, 大学病院, 助教 (70452761)
孝橋 賢一 九州大学, 大学病院, 講師 (10529879)
井原 健二 九州大学, 大学病院, 准教授 (80294932)
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キーワード | 再生医学 / 肝組織工学 / 肝細胞移植 / 歯髄幹細胞 |
研究概要 |
1)Wilson病モデルラットを用いたSHEDおよびSHED由来肝細胞の効果の検討 疾患モデル動物に対す非臨床試験として代謝性肝疾患の一つであるWilson病ラットに対し、SHEDおよびSHED由来肝細胞を経脾臓的に投与し、有効性に比較検討を行った。SHED投与群およびSHED由来肝細胞投与群いずれにおいても、疾患モデル動物の生命予後の有意な延長を認めた。また、SHED投与群およびSHED由来肝細胞投与群いずれにおいても血液生化学的検査にて黄疸、肝機能障害の改善を認め、病理学的検討では肝線維化の改善と銅沈着の軽減を認めた。さらに、SHED投与群およびSHED由来肝細胞投与群の比較検討では、生命予後、肝機能障害、肝線維化の改善や銅沈着いずれにおいてもSHED由来肝細胞投与の効果が優れるていることを確認した。 2)立体的肝細胞構造体の作成 ラット初代肝細胞、正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、骨髄由来間葉系幹細胞のヘテロスフェロイドをバイオ3Dプリンターを用いて立体的に積み上げることで立体的肝細胞構造体の作成を行った。培養1週間で、内部に内皮細胞で被覆された毛細血管様の構造が構築された。また、手術器具でつかんだり、切ったり、縫うことができる高い強度を有する構造体の作成に成功した。これを腸間膜や肝臓内に移植し、細胞の生着を確認中である。 また、ヒト肝細胞を用いて、同様の手法で立体的肝細胞構造体の作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
疾患モデル動物を用いてSHED由来肝細胞移植による肝再生効果が確認できたことは大きな進歩である。しかし、ラット初代肝細胞を用いた立体的肝細胞構造体の作成が安定しておらず、SHED由来肝細胞を用いた立体的肝細胞構造体の作成に着手できていない点でやや遅れていると考える。現在ヒトの初代肝細胞を用いて検討も行っているが、腫によらず初代肝細胞はスフェロイド形成が遅く、細胞自体が脆弱であることが問題であることが分かっている。一方でSHED由来肝細胞ではスフェロイド形成は容易で、長期間機能維持可能であることを確認しており、本年度はすぐにSHED由来肝細胞を用いた立体的肝細胞構造体の作製に着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)ヒト乳歯幹細胞由来肝細胞を用いた立体肝組織の最適化 ヒト歯髄幹細胞由来肝細胞よりバイオ3Dプリンターを用いて、立体肝組織を作製する。立体肝組織の細胞の生存率及びアンモニア代謝やアルブミン産生などを指標に肝組織の規格決定(細胞数、形状最適化)を行う。 2)ミニブタを用いた立体肝組織移植の有効性評価: ヒト乳歯幹細胞を用いた立体肝組織を同種四塩化炭素誘導性肝障害モデルミニブタに対し腹腔鏡を用いて肝臓内に埋没移植する。合併症等を検討し、安全な移植手技を確立する。また、肝臓におけるその生着度合、拒絶の有無、アンモニア代謝活性の上昇などを形態学的/分子生物学的手法で解析し、治療効果を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
SHED由来肝細胞を用いた立体的肝細胞構造体の作製に着手できなかったため。 SHED由来肝細胞を用いた立体的肝細胞構造体の作製に着手する。
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