研究課題
今回我々は、小児の髄芽腫など種々の発癌に関与することが知られ、さらに分子標的治療薬としても注目されているHedgehog(Hh)シグナル伝達系が神経芽腫においても活性化していることから、神経芽腫発生モデルであるMYCNトランスジェニックマウスを用いて神経芽腫における新規分子標的治療薬の開発を目標に研究を行った。MYCNトランスジェニックマウスは神経堤細胞においてMYCN蛋白が強発現することにより胸腹部交感神経節由来の神経芽腫が発生する。このモデルマウスはヒトの神経芽腫の発生、進展のメカニズムの解明及び、治療開発モデルとして非常に有用であることが報告されている。今回、MYCNトランスジェニックマウスの、ホモ、ヘテロそれぞれにおいて生存率を検討したが、ホモは100%死亡するのに対して、ヘテロは約半数が死亡するにとどまった。ホモとヘテロで腫瘍の生物学的悪性度が異なると考え、腫瘍死したそれぞれの個体から、腫瘍組織を採取し、そのHh signal経路の中で重要とされているHh蛋白(Sonic Hh), Patched, Gli1の抗体を用い、タンパク発現を検討してした。まず、HE染色では、ホモ・ヘテロともにヒト神経芽腫のundiffenetiated subtype相当であり、S-100やNSEの陽性率に差は認めなかった。またHedgehogシグナル関連蛋白はSonic Hh、Patchedは強陽性であったものの、Gli1はホモ・ヘテロとも陰性であった。この結果より、ホモとヘテロにおいて生存率が大きく異なるのに比較して、組織学的に2群に差がなかった。また、組織学的に我々が報告しているヒト神経芽腫検体においては、Gli1も陽性であった結果と異なっており、ヒト神経芽腫とMYCNトランスジェニックマウスにおいてHhシグナルの活性化の程度が異なることが明らかとなった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件)
Eur J Pediatr Surg.
巻: 25 ページ: 138-44.
10.1055/s-0034-1393961
Pediatr Surg Int.
巻: 未定 ページ: 未定