研究課題
ヒルシュスプルング病類縁疾患のひとつであるhypoganglionosis (HG)の病態解析を目的として前年度までに行ってきた臨床検体を用いての研究を継続してきた。具体的にはHG 24例、正常コントロール 26例の腸管より病理組織切片を作成し、免疫染色によって腸管神経および腸管グリアを定量的に解析した。抗体は神経マーカーにHuC/D, グリアマーカーにSox10を抗体を用いた。結果はHuC/D陽性の神経節細胞はHG群で9.6+/-4.8 /cmに対してコントロール群で43.6+/-21.8 /cmとHG群で有意に少なかった。Sox10陽性のグリア細胞も同様にHG群で37.1+/-24.7 /cmに対してコントロール群で285.6+/-131.3 /cmとHG群で有意に少なかった。神経とグリアの数の比率を比較してみると、グリア細胞/神経節細胞はHG群で4.3+/-0.5に対してコントロール群では8.2+/-1.1と、コントロール群で有意に高かった。我々は当初、hypoganglionosisにおいて、その病態は神経堤幹細胞から神経とグリアに分かれる時点で神経よりもよりグリアに分化してしまうことで結果的に神経の少ないhypoganglionosisが生まれると仮説を立てたが、実際には逆の結果が出た。腸管のグリアについてはまだ十分な研究がなされていない分野であり、今回のこの結果もこれまでに報告が無い。HGの病態を考える上で興味深い知見と言えた。また、以前にHG症例4例の血液から得たゲノムを次世代シーケンサーを用いて網羅的遺伝子解析を行い、変異遺伝子の解析を行っていたが、今回、新しい参照データでの見直しを行った。1例で既知のヒルシュスプルング病関連遺伝子にアミノ酸置換を、もう1例でマウスモデルでヒルシュスプルング病との関連が知られている遺伝子にアミノ酸置換を認めた。HG発症との関連がある可能性があり興味深い知見と言えた。
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Cytotechnology
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