研究課題/領域番号 |
24592702
|
研究機関 | 群馬県衛生環境研究所 |
研究代表者 |
山田 佳之 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (80309252)
|
研究分担者 |
池田 均 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10326928)
田口 智章 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20197247)
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30238133)
加藤 政彦 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30292593)
平戸 純子 群馬大学, 医学部附属病院, 准教授 (60208832)
黒岩 実 東邦大学, 医学部, 教授 (90234583)
|
キーワード | 先天性消化器疾病学 / 好酸球 |
研究概要 |
ヒルシュスプルング病(H氏病)とその類縁疾患に関する病理所見の好酸球に関する再評価を継続した。H氏病及びその類縁疾患とその疑い102検体(標本)(実際は1枚のスライドガラス上に同一患者の複数の組織があり数百検体)の再評価をすすめている。本年度は組織好酸球数の測定を標準化することに主眼をおいた。5名の臨床検査技師が病理医の指導のもと組織好酸球数が既存の検体を利用し、組織好酸球数測定を習得し、本検体の組織好酸球数測定を開始した。少なくとも3名以上の検査技師で同一の検体を独立的に測定している。さらにH氏病類縁疾患患者において消化管アレルギーを疑う症例が複数存在していることがわかり、組織好酸球浸潤が確認できた症例において、ごく最近、好酸球性胃腸炎での治療効果を報告した多種抗原除去療法を用いて治療を開始しており、治療後にも採取し、治療前後で病理および発現アレイでの検討を行うことを予定している。また先天性食道閉鎖・狭窄に関しては昨年論文発表したこれまでの研究から、本疾患患者での食道好酸球増多に対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)が効果を示していた症例が複数あり、発表以降の症例も含めて検討を進めている。合計9例の先天性食道閉鎖・狭窄での食道好酸球増多患者を確認し、3例についてはPPI投与の前後で臨床症状での評価に加え組織好酸球数の評価ができている。また現在、観察中の症例について今後の評価を予定している。病勢指標となる細胞表面分子の検討は群馬大学 村上博和博士との共同研究において、昨年度、適切なTh1、Th2マーカーとして同定した分子を用いて実際の患者検体、特に小児での測定を可能にするため、より少量で、短時間で測定するための検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒルシュスプルング病(H氏病)とその類縁疾患に関する病理所見の好酸球に関する再評価は組織好酸球数測定にはかなりの労力を要すること、また少なくとも病理学や消化管の基本的な知識が必要であること、また客観的に測定する必要性などがあり、検討に予想以上の時間がかかっている。しかしマイクロアレイでの検討のための生検検体の集積がすすみ、先天性食道閉鎖・狭窄に関連した食道好酸球増多でのプロトンポンプ阻害薬(PPI)の効果について新たに検討を開始し、論文発表以後の症例についても検討を進めており、これらの部分では順調な進展があった。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒルシュスプルング病(H氏病)関連の102検体の病理所見に関する再評価を終了後、同意が得られたものに関しては免疫染色を行い検討する。また一定の傾向がみられた場合には同様の検討をさらに多施設で行う。さらにH氏病および類縁疾患とアレルギーの観点での臨床的な検討、また本研究で挙げている指標を用いた評価を行う予定である。先天性食道閉鎖・狭窄に関連した食道好酸球増多に関してはプロトンポンプ阻害薬(PPI)の効果に関連した評価を中心にすすめる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ヒルシュスプルング病(H氏病)関連検体の病理所見に関する再評価が終了していないため、免疫染色など、それを踏まえた検討があまりすすめられていないことが理由と考える。 臨床情報の把握のため検体のリスト等の作成・アップデートを行う。また新規検体では血清、尿、便での好酸球関連分子、サイトカインの検討、フローサイトメトリーによるTh1/2関連分子、好酸球関連分子の発現の検討、免疫染色、発現アレイでの解析を行うため試薬(抗体・緩衝液・培地・化学薬品など)、プラスチック器具(フラスコ・培地皿・チューブなど)等を購入する。加えて研究の打ち合わせ、資料収集のため学会等に参加し発表する。さらに論文発表のための論文校閲費等に用いる。
|