難治性神経芽腫の治癒率向上のために、新しい観点からの分子標的治療薬の開発を試みることを目的とした。TrkBを標的としたインシリコのスクリーニングから得られた低分子化合物により、PARPやCaspase 9の断片化、p53のリン酸化が認められ、p53を介した細胞死の誘導が示唆された。またBDNFによるTrkBのリン酸化により、TrkBのBDNF結合領域はBDNFと低分子化合物で競合し合っていることが示唆された。CHP134細胞をマウスに移植した動物実験では、低分子化合物による抗腫瘍効果が認められた。以上の結果より、神経芽腫におけるTrkBを標的とした新しい抗癌剤候補となる低分子化合物を見出した。
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