研究課題/領域番号 |
24592705
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古和田 雪 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90623190)
|
研究分担者 |
菅野 恵美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10431595)
川上 和義 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253973)
館 正弘 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50312004)
|
キーワード | 創傷治癒学 / NKT細胞 / 感染 |
研究概要 |
形成外科領域で問題となる疾患として、褥瘡や糖尿病性足壊疽などの慢性皮膚潰瘍が挙げられる。慢性皮膚潰瘍では、炎症が遷延し、創傷治癒が遅延することが知られている。平成24年度では、野生型マウスとNKT細胞欠損マウスを用い、NKT細胞の治癒過程に与える影響について解析し、NKT細胞が欠損することにより、創傷治癒過程において重要な因子である創閉鎖率、コラーゲン合成、筋線維芽細胞分化、血管新生が低下することが明らかとなり、NKT細胞が創傷治癒過程に促進的に関与していることを明らかにしてきた。平成25年度では、NKT細胞が創部へ集積する白血球に与える影響について解析を行った。その結果、野生型マウス(WT)と比較し、Jα18欠損(NKT細胞欠損)マウスでは、好中球集積に関与するケモカインであるMIP-2 mRNA発現の増加を認めた。一方、マクロファージ集積に関与するケモカインMCP-1 mRNA発現はJα18KOマウスで低下していた。創部に集積する白血球分画の解析を行ったところ、WTマウスと比べ、Jα18欠損マウスでは創作成後も好中球集積が遷延し、マクロファージ集積が遅延していることが明らかとなった。 以上のことから、創傷治癒過程においてNKT細胞はケモカイン産生制御に関与し、白血球集積に関与することが明らかとなった。 次年度はNKT細胞が産生する代表的なサイトカインであるIFN-γやIL-4を中心に解析し、NKT細胞由来のサイトカインが創傷治癒にどのような影響を与えるか検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに実験・解析を行い、学会発表を行うと共に、得られた結果の一部を論文として投稿中であるため、順調な進展である。
|
今後の研究の推進方策 |
慢性皮膚潰瘍では、炎症性細胞が創部にとどまることによりTNF-α、IL -1、IL-6などの炎症性サイトカインを産生し続け、炎症を遷延させることが報告されている。我々の注目するNKT細胞は様々なサイトカイン産生を通して、炎症反応を制御することが知られている。そのため、NKT細胞が産生する種々のサイトカイン欠損マウスからNKT細胞を単離し、NKT細胞欠損マウスに細胞移入することにより、どのサイトカインが治癒促進効果に重要であるのか同定する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
端数がでてしまったため。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
|