研究課題/領域番号 |
24592709
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岡崎 睦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50311618)
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研究分担者 |
森 弘樹 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (80345305)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 組織移植 / 筋組織 / 脂肪組織 / 血流評価 / 体積変化 / 虚血 / 鬱血 / 放射線照射 |
研究概要 |
本研究では移植組織の経時的な血流と体積の変化をラットを用いて測定することを目的としている。ここから得られるデータは臨床における組織移植・再建手術において、どのような術式を選択するかの重要な情報となり得る。移植組織としては筋肉と脂肪を分けて考え、この異なる組織間での違いを中心に観察する。また手術に際しては移植組織に虚血や鬱血、放射線照射など様々な条件を付加し、より臨床に即したデータの収集を目指している。 初年度である平成24年度は動物モデルの確立と測定方法の最適化が主な研究内容であった。まずはSDラットを用いた広背筋移植の術式を確立した。さらにZucker肥満ラットを用いた脂肪組織移植に関しても手技を開発中である。これらの手術操作中に移植組織を支配する神経や血管を確実に同定することができ、血管のクリッピングや神経の切断により今後は移植組織に様々な条件を付加することが可能となった。 測定法に関しては、主にmicro focus X線CTを用いた体積の測定を行っている。CT装置は軟部組織の観察には適さないという欠点があり撮影条件の設定に関しては時間をかけた。現在では移植組織の全体像を短時間の3回に分けたスキャンで捉え、また撮影時のラットの体位を工夫するなどにより呼吸性の変動を最小限に抑えたぶれの少ない画像が得られる。さらに移植組織を周囲組織から識別する方法に工夫を要した。移植組織と周囲組織の間の血流再開を妨げないような材質、またCT画像上で鮮明に識別できる材質を開発した。 本研究に類似した研究では移植組織の変化を重量で測定していることが多い。これは複数枚の画像からの体積測定の技術が比較的難しいことに起因している。そのため体積測定のツールを開発することも重要な課題であった。現在までに、得られたCT画像から移植組織の3D画像を作成しその体積を算出する手技が確立されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に提示した初年度の研究計画では動物モデルの最適化と測定方法の確立を目指している。動物実験モデルに関してはおおむねその目標を達しているが、放射線照射の手技の確立および照射条件の最適化についてはまだ目標に達していない。測定方法に関しては、micro focus X線CTの撮影による体積評価の最適化は順調に進んでいる。しかし移植組織の血流を測定するための手段として計画していたnanoSPECT/CT撮影はまだ行えていない。そのため現在までの達成度はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ラットに対して行う手術操作に関してはすでにほぼ確立されており、今後は様々な条件下での体積測定を順次行っていく。その過程で今後おそらく課題となってくることは、放射線照射条件の設定、経過観察期間の設定、ラットの成長に伴う体積補正の問題などである。これらに関してはすでにいくつかの方策を考慮しており、今後の研究とともに解決されることが期待される。 生体における血流評価の手段として予定しているnanoSPECT/CTに関しては、その手技に成熟するためにはなお時間を要するものと思われる。なるべく早期の実施を予定しているが現在までにその有用性に関するデータを得られていない。本学研究支援センターの協力体制のもとに早期実施を図れる人員体制を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に必要な機材・備品の購入は、初年度で終了した。 2年目以降は、基本的に、消耗品・試薬の購入費、動物の購入・飼育費、放射線照射にかかる費用、情報収集のための遠征費に使用予定である。
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