研究課題/領域番号 |
24592710
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鳥山 和宏 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40314017)
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研究分担者 |
八木 俊路朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00378192)
亀井 譲 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10257678)
西田 佳弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50332698)
高成 啓介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80378190)
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キーワード | 術後化学療法 / 創傷治癒 / 創抗張力 |
研究概要 |
1. 抗がん剤・投与量の決定。抗がん剤はアドリアマイシンを選択した。投与量は腹腔内投与で、投与後4日で採血を行い、白血球が優位に低下する投与量、15 mg/kgを決定した。 2. 術後化学療法が皮弁壊死モデルで炎症反応・肉芽形成に与える影響。実験動物はSDラット7週齢を使用し、イソフルレンによる全身麻酔下で尾側を基部とする幅20 mm長さ40 mmの背部皮弁を拳上した。皮弁採取部を縫縮後にその上に皮弁をもとの長さになるように逢着した。実験群としてアドリアマイシンを投与する群(ADM群)と、コントロール群としてPBSを投与する群(PBS群)を比較した。ADM群とPBS群で皮弁長に差異はみられなかったが、術後2日と術後4日での投与で、創抗張力はADM群で投与後2日で約25パーセント減少する傾向がみられた。PBS群の組織学的検討では、術後4日で表皮の再上皮化が完成し、術後6日に真皮層の間隙が未熟な線維に置換された。一方、ADM群では、術後4日で上皮のirregularityが残存し、6日に真皮層の間隙の残存がみられた。 3. 術後化学療法が切開モデルで炎症反応・肉芽形成に与える影響。実験動物はSDラット7週齢を使用し、背部正中に長さ3cmの肉様膜に達する切開を加えて縫合するモデルを作成した。術後2日、4日、6日、8日、10日で縫合部採取して創抗張力を想定した。平成24年度は、創抗張力はばね張りによる測定行ってきたが、平成25年度からより厳密な評価法として創抗張力測定装置を使用して実験を行った。しばらく安定した測定値が得られなかったが、切開した縫合部の採取のしかたにばらつきがあると考えて、縫合部下床にシリコンシートを引き込むことで安定した採取が可能となった。現在、抗がん剤を投与してデータを収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
創抗張力測定装置による創抗張力の測定値にばらつきがあり、安定した値が得られるまで相当数の基礎実験を要した。また、実験モデルの変更も行い、実験の進め方にもゆらぎ実験進行が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
まだ評価の不十分な生化学的検討と組織学的検討を行う。抗がん剤投与後1日、2日、3日、5日、7日、14日に検体を採取して、検体を半切し、一つは組織学的解析のために4%パラホルムアルデヒドで固定し、もう一つはコラーゲンの指標となるhydroxyprolineの測定を行う。組織標本からHE染色、グラム染色、トリクローム染色を行い、壊死範囲および細菌のコロニー数、コラーゲンの分布を把握する。次いで、炎症反応の主役となる好中球とマクロファージを免疫染色しその分布と数を解析する。また、血管内皮細胞を免疫染色して血管数をカウントする。モデルは切開モデルと皮弁壊死モデルで行うとともに、抗がん剤も変更していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
創抗張力の測定に手間取り、従来の生化学的分析と組織学的分析が十分に実施できなかったため。 実験モデルに改良を加えて測定が安定したので、生化学的分析と組織学的検討に時間と予算を分配できる。
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