研究分担者 |
八木 俊路朗 鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (00378192)
亀井 譲 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10257678)
西田 佳弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50332698)
高成 啓介 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378190)
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研究実績の概要 |
【背景】化学療法は、がんの集学的治療で重要であるが、骨髄抑制、創傷治癒遅延などの副作用が問題となる。また術直後の化学療法が創傷治癒に及ぼす基礎的実験はほとんど報告されていない。今回われわれはラットの単純切開モデルと虚血皮弁モデルを用いて術後化学療法が皮膚創傷治癒に及ぼす影響を検討したので報告する。 【方法と材料】抗がん剤は塩酸ドキソルビシンを選択し臨床標準量を尾静脈投与した。実験動物はSDラット8週齢使用し、ラット背部正中部を肉様膜の層まで2cmの切開を行い単純縫合する群(以下非虚血群)とH字型皮弁状に肉羊膜の層で起こし縫合する群(以下虚血群)に分けた。抗がん剤は術後0日, 7日, 14日, 21日に投与した。それぞれ術後7, 14, 21, 28日目で背部縫合部を採取し、卓上型精密万能試験機オートグラフAGS-Xで創抗張力を測定した。また、コントロールとして抗がん剤未投与の両群のラットを術後7, 14, 21, 28日目で採取し同様に測定した。 【結果】コントロールの創抗張力は虚血群では非虚血群に比べて著明に小さく、手術後0日, 7日, 14日, 21日で56%, 25%, 37%, 56%であった。抗がん剤投与下の創抗張力では、非虚血群で術後14日以内に投与したもので著明に低下した(最大63%)。虚血群においてもほぼ同様の傾向となったが、抗がん剤の影響は少なかった(最大73%)。 【考察】非虚血群では、抗がん剤を術後21日以降に投与すれば創抗張力に関して影響は少ないと考えられた。抗がん剤の標準投与量での創抗張力においては、虚血の影響が抗がん剤の影響より大きかった。また、虚血群で抗がん剤の相乗効果は少なかった。現在病理組織学的に検討中である。
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