研究開始当初は、体外フォトフェレーシスのみを用いて、それを行った場合と行わなかった場合とで、同種間複合組織移植の拒絶反応に差が出るかどうかを検討した。しかし、その場合では拒絶反応が5-7日目におこるため、明らかな有意差を得ることができなかった。そこで、移植初期からステロイド投与を開始して拒絶反応を抑止しながら観察を行った。その場合は、拒絶反応が弱くなり約10日間の移植組織の生着を得ることができた。この場合では、1-2日の差だが、拒絶反応が体外フォトフェレーシスを行った場合において、長期に移植組織が生着することが分かった。さらに、移植10日目に組織を採取して、HE染色を行い観察をしたところ、炎症細胞浸潤や移植組織の真皮の厚さに差が生じており、病理組織学的にも炎症反応に差が出ることが分かった。in vitroの検討として行ったリンパ球混合試験においては、有意差をもって、体外フォトフェレーシスを行った場合において拒絶反応が抑制されることが分かった。これは、体外フォトフェレーシスによって抑制系のT細胞が活性化されたためであると考察した。そのメカニズムを解明するために、移植後のラットの血液を採取して、抑制系のT細胞の数の差を調査した。しかし、今回の検討では、体外フォトフェレーシスを行った群と行わなかった群とで比較して、明らかな差を見ることができなかった。さまざまな条件を変えてみたが、確認できなかった。現在原因として、ステロイド投与により抑制系のT細胞の活性が抑えられたため、有意な差が出なかったと考えている。今後は、別の方法で観察期間を長くし、そのうえで再度同じ検討を行う予定である。
|