今後の研究の推進方策 |
今後の計画は、(a)miR-21がTGFβシグナル経路に及ぼす影響,(b)糖尿病性創傷におけるmiR-21-TGFβ相互作用の意義を検討することである。 (a)miR-21 発現を過剰あるいはノックダウンされた細胞を持ちいて,免疫組織化学的検査(IHC),Real time PCR および免疫ブロット法によりTGFβファミリー(特にTGFβ1, TGFβR2, SMADs 2, 3, 4, 7)の発現を解析する。TGFβR2 とSMAD7mRNA の3’UTR にmiR-21 と相補的な塩基配列が存在しているため,これらのmRNA がmiR-21 の標的であろうと予想されている。miR-21 結合部位を含む3’UTR 断片あるいはそれの変異型をluciferase vector の中に連結して,そのベクターをmiR-21 発現過剰あるいはノックダウンされた細胞へ導入して,レポーターアッセイにより転写プロモータの活性を測定することでTGFβR2 とSMAD7mRNA がmiR-21 の標的であろうかどうかを確認される。 (b)生体内系により糖尿病性創傷におけるmiR-21-TGFβ相互作用の意義を検討する。我々はこれまで、糖尿病性マウスでは創傷治癒期にmiR-21の発現が正常に比し、低いことを示してきた。この現象が糖尿病創傷治癒におけるTGFβ1の発現低下の原因であるのか、創傷治癒の遷延化に関与しているかを知るために、糖尿病マウスを用いたin vivo実験を行う。マウス皮膚に創傷を生成し、miR-21プラスミドを局所投与し、定時的に創傷周辺組織を採取する。採取した組織を用いて、創傷治癒に関するTGFβファミリーの発現、コラーゲン沈着、再上皮化等を評価する。
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