造血系幹細胞・血管内皮細胞のマーカーであるTie2特異的にCre recombinaseを発現するTie2Creマウスと、Cre recombinase依存的にtdTomato(以下tdT)を発現するROSA26-stop-tdTマウス(以下Ai14マウス)を交配することにより、Tie2発現細胞の系譜が赤色蛍光を発するTie2Cre;Ai14マウス(以下TAマウス)を作製した。さらにコラーゲンtype1産生細胞特異的に緑色蛍光を発するCOL/EGFPマウスと、TAマウスを交配することにより、Tie2Cre;Ai14;COL/EGFPマウス(以下TAGマウス)を作製した。 TAマウス・TAGマウスの背部に作製した皮膚欠損創の組織を用いて蛍光免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて観察したところ、術後2週の時点では創部にtdT陽性CD31陰性細胞(=血球由来細胞)の集積を認めたが、術後4週の時点では著明に減少していた。一方、背部皮膚欠損創に人工真皮を貼付することによって肥厚性瘢痕モデルを作製し、同様に蛍光免疫染色にて解析したところ、術後4週の時点でも多数のtdT陽性CD31陰性細胞を認めた。また創部におけるEGFP陽性細胞(コラーゲンtype1産生細胞)は、tdT陽性であった。 以上より、肥厚性瘢痕における線維化には血球由来細胞が関与していることが示唆された。
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