研究課題/領域番号 |
24592719
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
林 瑠加 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50445392)
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研究分担者 |
鳥海 正博 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20528210)
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40224919)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞凝集塊 / 線維芽細胞 / 間葉系細胞 / 非接着培養 / 三次元培養 |
研究概要 |
これまでの研究で、成獣オスC57bl/6Jマウスの皮膚、および肺由来の間葉系細胞は、非接着培養を行い細胞凝集塊の状態とすることで、表皮細胞との混合移植でマウスにおいて毛包を再生できることが分かっている。今回この細胞凝集塊について、未分化性との関連などにつき更なる検討を行った。 細胞凝集塊の生存の有無については、非接着培養開始後3週間での凝集塊のTUNEL染色およびPI染色にて、95%以上の細胞の生存が確認できた。また実際に移植に用いた細胞よりさらに長期に非接着培養を行い、約4か月経過した段階で細胞凝集塊を二次元培養に戻し、細胞の生存の有無と分裂速度を調べた。細胞の形態は、経時的に徐々に細胞質の割合が少なくなることで形が小さくなりながらも、凝集塊を形成したままであった。二次元培養に戻すと、細胞は増殖を開始し生存が確認できた。培養再開初期の細胞は非常に小型で分裂能が遅かったが、継代とともに通常のサイズ・増殖能ともに回復し、7継代目頃には通常の線維芽細胞と同程度になった。このことは細胞が凝集塊を作成することで、ある種の冬眠状態になることを示唆していた。 細胞の未分化性を確認するために、種々の未分化マーカーの発現に関してreal time PCRを施行したところ、凝集塊形成後に二次元培養に比べ、特にSox-2やCD133が経時的に上昇し、cxcr4、Oct4も相対的発現の上昇を認めた。一方で、Nanog、myc、Klf-4などのマーカーは細胞凝集塊の形成とともに発現が漸減し、一部の未分化マーカーのみ発現が上昇することが分かった。免疫組織学的検討では、confocal microscopeでの観察にてこれまでにSca-1、Nestinの発現が確認されていたが、さらに造血幹細胞などで認められるNotch1やCD34の発現が確認され、これらは前述の細胞の冬眠とも関連がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標としたもののうち一部の免疫染色、PCRでの検討は行えているが、安定した細胞凝集塊を得るために期間を要するため、決まったポイントでの経時的なサンプル採取や、多重染色などはまだ行えていない部分がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究目標として掲げた項目に関し、足りない項目は引き続き検討を行う。併せて平成25年度の研究目標も遂行していくことを予定している。本研究室内での設備では不十分な実験については、本大学が所有している中央機器管理部門の設備を用いて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、平成24年度同様、主に実験に使用する試薬類や器具類の購入、また動物(マウス)の購入および飼育に使用する予定である。現段階で特に大きな機器の購入予定はない。 未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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