研究課題/領域番号 |
24592719
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
林 瑠加 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50445392)
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研究分担者 |
鳥海 正博 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20528210)
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40224919)
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キーワード | 細胞凝集塊 / 線維芽細胞 / 間葉系細胞 / 非接着培養 / 三次元培養 / 未分化性 |
研究概要 |
これまでの研究で、C57bl/6J新生仔マウス由来の皮膚と、同系マウス成獣由来の肺組織から線維芽細胞を採取・培養し、のちに非接着培養の条件に移し細胞凝集塊を形成すると、これらが表皮細胞との混合移植によりマウスで毛包を再生させ得ることを確認した。このことは、本来分化した状態の線維芽細胞からは毛包は誘導できないが、細胞凝集塊の状態にすることで細胞の性質が変化し、ある種の未分化性を獲得する可能性があることを示している。凝集塊を形成する細胞は、非接着かつ無血清の状態でも長期間生存しており、real time PCRでも幾つかの未分化性を示すマーカーの発現上昇が証明されている。 線維芽細胞から作成した細胞凝集塊の免疫組織学的検討では、confocal microscopeによる観察にて、Skin derived precursorsなどで発現しているSca-1やNestin陽性の細胞が多数認められたが、それらは各々異なる分布を示していた。この結果より興味深いことに、凝集塊の中の未分化性を示す細胞が非対称性に変化していることが予測された。この現象が、凝集塊中の細胞の不均等な脱分化によるものなのか、あるいはmuse cellのような細胞のselectionの結果なのかは今のところ不明であるが、線維芽細胞自体が培養条件の変化によって性質変化を来たしたことを証明するためには、これらの細胞がselectionによるものではなく、単一細胞由来であることを示す必要がある。現在これを証明するために、細胞のクローニングを行い、同様の方法で凝集塊を形成させたうえで毛包誘導が可能かどうかの検証を行っている段階である。クローニングにあたっては二次元培養の状態の線維芽細胞を限界希釈によって単一細胞を分離し、増殖・継代させる方法を用いている。 なお本年度の期間中、出産に伴う産休および育休により、平成25年10月9日から平成26年1月31日までは研究を中断している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの成果を確実にするための、単一細胞を用いた実験に関しては、細胞の安定した確保が難しく数回再実験を行ってる状態である。 また個人的理由ではあるが、今年度中に産休・育休を取得したため、実験に費やせる全体の時間が少なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究目標として掲げた項目に関し、足りない項目は引き続き検討を行う。併せて平成26年度の研究目標も遂行していくことを予定している。本研究室内での設備では不十分な実験については、本大学が保有している中央機器管理部門の設備を用いて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果であるが、概ね予定通りである。 次年度の研究費は、今年度同様、主に実験に使用する試薬類や器具類の購入、また動物(主にマウス)の購入および飼育に使用する予定である。現段階では特に大きな機器の購入予定はない。
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