研究課題
本年度は幼弱化したシュワン細胞が蛍光発色するNestin-GFPマウスを利用し、前年度までに加え両側群を加えた4群(1群;コントロール群、2群;無損傷群、3群;片側群、4群;両側群)を作成し、Liveやwhole mount imagingで7日毎に遊走距離を計測した。シュワン細胞の遊走速度は移植後2週目に端側神経縫合を用いた3及び4群が2群よりも遠位へ遊走している様子をLive imagingにて観察できた。Whole mount imagingで計測したシュワン細胞の遊走距離でも4群が最も遠位まで遊走し、続いて3群、2群、1群の順であった。RT-PCR法で測定したシュワン細胞遊走関連シグナルについても、移植後2週モデルでは4群が3群に比し、豊富なシュワン細胞の遊走が既に起こっている事が示唆され、無細胞化神経への速やかで充分なシュワン細胞供給法には両側端側神経縫合法が有用であると考えられた。この結果をもとに、1群、3群、4群の上記モデルを用いて、移植4週後にシュワン細胞含有移植神経を採取し坐骨神経欠損モデルに移植をした。7日毎にLive imagingで観察すると、移植1週後の軸索伸張距離はシュワン細胞含有量に比例して4群、3群、1群の順であった。さらに移植4週後に各群の移植神経の中央部(近位側)と移植神経遠位端から2mm遠位側(遠位側)での再生軸索数やg-ratio等を計測した。再生軸索数は近位側、遠位側共に3群が最多であった。g-ratioも3群が他群と比べ遠位側の再生軸索が正常値に近似する良好な髄鞘形成がみられた。以上からシュワン細胞を遊走させる事で神経再生が早期に多く起きている事が示唆され、特に両側端側神経縫合でシュワン細胞を付加させた神経がより軸索再生数、そして成熟した再生軸索も多い結果であり、端側神経縫合による自己シュワン細胞充填ハイブリッド型神経が新たな末梢神経再建方法の1つとなりうる可能性が示唆された。
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