研究実績の概要 |
平成26年度研究計画は,東北大学病院高度救命救急センターに入院した急性CO中毒患者のうち研究参加への同意が得られた患者に対し,以下の4項目について評価を行うことであった. 1.対象患者の臨床情報,血液・髄液検査,頭部MRI検査の経時的収集 2.対象患者の頭部MRI拡散テンソル画像(DTI),1H-MRスペクトロスコピー(MRS)の経時的撮影・解析 3.上記1,2の結果をもとに急性CO中毒患者の間欠型発症リスク層別化とフォローアップ法策定 4.CO中毒時における酸化ストレス応答を目的とする血中・髄液中HO-1濃度測定 当該年度中新たに上記計画へ組み入れられた新規患者は11名で,前向き研究開始後の累積患者数は123名になった.これらの新規患者のうち項目1の臨床・検査データ取得は11名すべてで行われ,項目2については6名について経時的解析が行われた.これらの結果,間欠型中毒発症患者の臨床情報・検査データについて一定の傾向が得られており,それをもとに項目3の試案を策定した.現在,過去の入院患者と新規入院患者に分けて妥当性を検討中である.項目4については髄液検査への同意患者数が4名と予定より少なかった.そのため,補助事業期間を1年延長してHO-1解析を行う予定である. 今年度までに研究費を用いて得られた成果については国内外での学会発表を行い,査読あり英文誌へ投稿し受理・オンライン発行されている(Novel clinical grading of delayed neurologic sequelae after carbon monoxide poisoning and factors associated with outcome. Hiroshi Kuroda, Kazuo Fujihara, Shigeki Kushimoto, Masashi Aoki. Neurotoxicology 2015;48:35-43).また,MRS関連論文についても査読あり英文誌に投稿中である.
|