研究実績の概要 |
日本外傷データバンク2015年度版を最終的にデータソースとして用い、対象を16歳以上の熱傷を除く病院に直接搬送された外傷症例として最終的な解析を行った。予測変数(患者の生理学的指標)と転帰(入院中死亡)のデータセットで、外れ値はロバスト回帰で外し、欠測値は多重代入法で補完する手法を用い、選択バイアスの非常に小さなデータセットを作成できた。モデルの頑健性の確認は、日本外傷データバンクのデータセットと、Clinical Randomisation of Antifibrinolytics in Significant Hemorrhage (CRASH-2)の研究者から提供されたデータセットの複数で検証し、さらに、complete case analysisも行った。 本研究の外部検証は、日本救急医学会が主導する多施設共同研究であるFORECAST (Focused Outcome Research in Emergency Care in ARDS, Sepsis and Trauma)において前向きに行うことが決定している。 この最終的なモデルに基づいた研究成果は、WADEM2015 (19th World Congress on Disaster and Emergency Medicine 21-24th April, Cape Town, South Africa)で発表した他、論文投稿を準備中である。また、World Trauma Congress 2017 (New Deli, India)において、招待講演を行う予定である。 さらに派生研究が続いている。現在、本研究の外傷重症度調整の回帰分析の経験に基づいて、外傷患者のICUでの診療の質を評価する研究と、外傷患者の診療の質の年次推移の研究が進行している。
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