研究課題/領域番号 |
24592732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
針井 則一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80377522)
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研究分担者 |
松田 兼一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60282480)
後藤 順子 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (60530102)
柳沢 政彦 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (90597022)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 血液浄化療法 / 敗血症 / 集中治療医学 |
研究概要 |
敗血症性多臓器不全において,血液浄化療法は腎補助と過剰に存在するサイトカイン等のメディエーターの吸着・除去を目的として行われる.我々は超小型血液浄化器を用いたエンドトキシンラット血液浄化治療モデルを構築し,優れた吸着・除去特性をもつ膜素材を検討している.平成24年度はラット敗血症ショック,CHDF治療モデルの確立のためのパイロット研究を行った.平成24年度上半期はラット血液浄化回路の設計と最適化,安定したカニュレーション手技を確立した.また,麻酔・人工呼吸器管理下のSDラットに少量のエンドトキシを経静脈投与し,血液浄化を3時間程度行い,循環動態の評価,血液ガス分析,IL-6等の経時的測定のプロトコールを検討した.さらには,当初は回路内・血液浄化器内凝固のため1時間前後で中断せざるを得なかったが,長時間の血液浄化療法に耐えうるスペックをもつ血液浄化器を得るため,血液浄化器の膜面積,中空糸長と数量,両サイドのヘッドの形状,抗凝固剤の量を最適化する手順をアルゴリズム化した. 平成24年度下半期は,上記検討で得られた実験系を用い,ラットに少量のエンドトキシンを注射し,引き続き2種類の膜素材の異なる血液浄化器(膜素材A及び膜素材B,A,B群それぞれn=5)を使用した血液浄化を3時間行い,脱血・返血側での2点における血中,およびろ液中IL-6を測定し吸着・除去特性を検討した. A群ではろ液側のIL-6濃度が常に一定であったがB群では、循環初期では濾液側にIL-6はほとんど検出されず,循環後期では、徐々にろ液側にIL-6が検出し始めた.また、クリアランスグラフでは, A群に比べてB群の方が常に高い値を示していた.B膜は吸着を示すろ液濃度の挙動を示したことよりIL-6の除去能が高いことが示唆された.以上の結果を平成25年度の関連学会にて報告する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画における平成24年度の計画ではラット敗血症ショック,CHDF治療モデルの確立である.平成24年度には3時間程度の施行に耐えうる血液浄化器,回路を作成し,更には2種類の膜素材を用いた検討において,IL-6の吸着,除去能の相違を証明し得たことから,ほぼ順当な進捗状況であると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は当初の研究計画に準じる.ラット敗血症ショック,CHDF治療モデルを用い膜素材毎に8匹程度実施する.比較検討項目としては,観察期間内の生存率,生理学,生化学,病理組織学的な評価を行う.また,血液浄化療法によって除去された蛋白質のプロファイル,各膜素材群間の比較. バイオマーカー候補蛋白質の同定を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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