研究課題/領域番号 |
24592732
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
針井 則一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80377522)
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研究分担者 |
松田 兼一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60282480)
後藤 順子 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (60530102)
柳沢 政彦 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (90597022)
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キーワード | 血液浄化療法 / 敗血症 / 急性腎不全 / 集中治療医学 |
研究概要 |
敗血症性多臓器不全において,血液浄化療法は腎補助と過剰に存在するサイトカイン等のメディエーターの吸着・除去を目的として行われる.我々は超小型血液浄化器を用いたエンドトキシンラット血液浄化治療モデルを構築し,敗血症性腎不全の治療において,優れた吸着・除去特性をもつ膜素材を検討している.平成24年度下半期から平成25年上半期には前年度に構築したラット敗血症ショック,血液浄化療法モデルを用い,膜素材の異なる2種類の血液浄化器の炎症反応などにおいて重要な役割を果たすサイトカインであるIL(Interleukin)-6の吸着・除去特性を比較した.その検討で膜素材によってIL-6の除去能が大きく異なることを明らかにし,平成25年11月に関連学会で報告した.今後,追加の結果を加えたものを関連雑誌に投稿する予定である. 平成25年下半期は血液浄化時間の延長し,各種生理学的パラーメータを測定し,膜素材の違いによる差異を検討している.また,血液浄化器前後の血液およびろ液を経時的に採取し,その検体中に含まれる既知の各種炎症性サイトカイン,ケモカインをタンパクアレイを用いて測定,定量化し,それぞれの吸着・除去特性を包括的に検討しており,この結果を平成26年度の関連学会にて報告する予定である.平行して,当初の研究計画に準じ,生存率に影響しうるバイオマーカー候補蛋白質の検索をおこなう予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画における平成25年度の計画ではラット敗血症ショック,CHDF治療モデルを用い,膜素材を用いた検討において,IL-6の吸着,除去能の相違を証明し,関連学会に発表した.さらに長時間の血液浄化療法を安定的におこなうことが可能となり再現性のあるデータを得る準備が整い,IL-6ほかの液性因子の吸着・除去特性を検討し始めており,ほぼ順当な進捗状況であると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は当初の研究計画に準じる.ラット敗血症ショック,CHDF治療モデルを用い膜素材毎に8匹程度実施する.比較検討項目としては,観察期間内の生存率,生理学,生化学,病理組織学的な評価を行う.また,血液浄化療法によって除去された蛋白質のプロファイル,各膜素材群間の比較,バイオマーカー候補蛋白質の同定を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の為に開発された血液浄化器の納入が遅れ,ラットを用いた実験の一部が次年度に持ち越されたため.サイトカイン測定試薬の購入額が予定より下回った. 血液浄化器の不足は解決したため,繰り越した分は実験計画に従い,上記試薬やラットの購入,維持の費用として使用する.
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