研究課題/領域番号 |
24592733
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石見 拓 京都大学, 保健管理センター, 准教授 (60437291)
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研究分担者 |
川村 孝 京都大学, 保健管理センター, 教授 (10252230)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50196474)
入澤 太郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50379202)
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キーワード | 救急医療 / 心肺蘇生 / レジストリ / 病院外心停止 / 他施設共同研究 / 国際情報交換 北米 |
研究概要 |
本研究は、院外心停止例の搬送先病院の治療体制及び、低体温療法などの病院到着後の集中治療に関するデータを前向きに登録・分析し、①院外心停止例に対する病院到着後の治療体制・治療内容の実態把握、②院外心停止例の搬送先選定基準の検討・予後予測因子の検討、③院外心停止からの社会復帰率向上に寄与する治療体制・集中治療の検討を進めることを目的としている。研究初年度となる24年度に、多地域・施設を網羅した心停止症例のコホート研究を数多く実践している米国シアトル ワシントン大学等、先行地域の視察を行い、視察結果を反映した登録システムを構築し、研究の核となる大阪府下の救命救急センターにてパイロット集計を実施した。研究分担者・協力者との打ち合わせを定期的に開催し、パイロット集計を通じて確認した不具合を修正したうえで、大阪府で発生した院外心停止例のうち、救急隊が蘇生処置を行い、府下の救命救急センターに搬送されたものを対象に、前向き・多施設コホート研究を確立した。主たるアウトカムは社会復帰(脳機能良好な状態での1ヶ月生存)とし、①病院前蘇生記録、②搬送先病院の治療体制、③病院到着後の治療、を組み合わせた症例登録体制を構築した。すでに確立している病院前での蘇生処置に関するデータを大阪府から入手し、匿名化した状態で連結を行うとともに、研究事務局にデータマネージャーを確保し、データの質を維持するとともに研究参加施設の現場負担が少ない体制を構築し、登録症例数を確保することを目指している。研究2年目となる25年度は、前年度に構築した登録システムによって、症例の蓄積を進めた。平成25年3月末現在で、1040例の症例が集積されており、研究は順調に推移している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度となる24年度前半には研究代表者と主たる研究施設である大阪大学の研究分担者が、多地域・施設を網羅した心停止症例のコホート研究であるROC study、NRCPR study、CARES studyを統括・管理あるいは中心的に関わっている米国シアトルワシントン大学等の視察を行った。ワシントン大学Graham Nichol教授、Mickey Eisenberg教授を含めた、蘇生科学領域の臨床研究のスペシャリストから研究実施にあたっての助言を得た。帰国後、研究分担者、協力者らと協議を重ね、視察結果を反映した登録システムを構築し研究の核となる大阪府下の救命救急センターにてパイロット集計を実施した。また、13ある大阪府下すべての救命救急センターから研究参加の同意を得ることに成功し、研究体制を構築した。研究分担者・協力者、参加施設との打ち合わせを定期的に開催しパイロット集計を通じて確認した不具合を修正したうえで、大阪府で発生した院外心停止例のうち、救急隊が蘇生処置を行い、府下の救命救急センターに搬送されたものを対象に、前向き・多施設コホート研究を確立した。病院前での蘇生処置に関するデータを大阪府から入手し、匿名化した状態で連結を行うとともに研究事務局にデータマネージャーを確保し、データの質を維持するとともに研究参加施設の現場負担が少ない体制を構築し、登録症例数を確保することを目指している。研究2年目となる25年度は、定期的に会議を開きながら課題を克服し、症例の蓄積を進めている。新たな研究課題の設定、追加の収集項目の決定を行うなど研究内容を発展させるとともに蓄積されたデータを踏まえた解析テーマの検討も進めている。平成25年3月末現在で1040例の症例が集積されており、研究は順調に推移している。また、当初から計画していた通り、本研究で得たノウハウを共有し登録を拡大するために関係学会等に呼びかけて対象施設の府外への拡大を試みているところである。
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今後の研究の推進方策 |
26年度にかけては、引き続き、症例の登録を積み重ねる。研究協力者、大阪府、消防組織等、症例登録に関係する研究者、機関との打ち合わせを定期的に実施し、研究遂行にあたっての問題点を改善していくとともに、症例登録のペースを確認する。研究事務局にデータマネージャーを確保し、データの質を維持するとともに研究参加施設の現場負担を極力減らし、登録症例数を確保する。特に、転帰のフォローアップ調査に当たっては、研究事務局が研究分担者、協力者をサポートすることでフォローアップ率の向上を目指す。病院前での蘇生処置に関するデータを大阪府から入手し、匿名化した状態で連結を行う。 26年度からは本格的に、データの解析を開始する。解析に当たっては、研究分担者、協力者から広く解析テーマを募集し、分担して解析を進める。本研究を通じて、①院外心停止例に対する病院到着後の治療体制・治療内容の実態把握、②院外心停止例の搬送先選定基準の検討・予後予測因子の検討、③院外心停止からの社会復帰率向上に寄与する治療体制・様々な集中治療の効果の検討という複数のテーマに関する検討を予定しているが、まずは、地域をできるだけ網羅して院外心停止例に対する搬送先選定の状況、病院到着後の治療の実態を明らかにすることを目指している。 26年度後半には、集積されたデータ解析の取りまとめを行い、得られた成果の報告と情報公開を行う。研究成果の発信方法としては、英語原著論文、国内、国際学会での発表を予定している。ホームページ、消防機関の広報等を活用し、広く研究成果を発信する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 研究者および実務者レベルでこまめに打合せを行う。 2. 効果的かつ維持・運営のしやすい症例登録システムシステムを構築するため、開発ノウハウを有する企業に委託する。 3. 研究施設の端末からのデータ入力とするものの、現場の負担を極力削減する必要がある。 1. 研究分担者・連携研究者間の定期的な会議(年間6回程度を予定)ならびに実務者によるWG会議を行うための交通費おおよび会議費。 2. データ登録システムの構築・維持・管理の委託費、ならびに外部のサーバを利用したデータ管理費用。 3. データマネージャーに対する謝金。
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