研究課題/領域番号 |
24592734
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 行雄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90447954)
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研究分担者 |
松本 直也 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (50359808)
精山 明敏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70206605)
神 隆 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, その他 (80206367)
三谷 智子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378757)
村上 由希 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50580106)
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キーワード | 敗血症性脳症 / NMDA型グルタミン酸受容体 / 感覚神経障害 / 体性感覚 / マウス脳 / 生化学的解析 / 行動学的解析 |
研究概要 |
目的:H24年度に確立した敗血症性脳症の病態および治療介入効果の検討方法を用い、脳機能の神経伝達物質の観点から洞察を加えた。敗血症性脳症マウスを用い、感覚機能異常におけるNMDA型グルタミン酸受容体NR2Bサブユニット(以後NR2Bと記載)、および炎症性生理活性タンパク質インターロイキン1受容体(以後IL-1Rと記載)の役割を検討した。 実験:敗血症性脳症マウスを作製し、20時間後にマウス側脳室にNR2B特異的アンタゴニストRo25-6981を0.2 g投与し、敗血症に伴う感覚機能の回復効果を検討した。行動学的解析にHot plate試験(脳機能検査)、tail immersion試験(反射機能検査)を用い、生化学的解析として、免疫染色法、免疫沈降法を用いた。 結果:以下の結果が得られた。1.行動学的解析:敗血症性脳症においてHotplate試験にのみ遅延が生じ、Ro25-6981注入マウスは正常マウスまで回復した。2. 生化学的解析:敗血症性脳症において、NR2B、およびIL-1Rの発現上昇がみられ、Ro25-6981マウスでは正常レベルに回復した。さらに免疫沈降法により、NR2BとIL-1Rそれぞれにおいてバンドが検出された。 結論:敗血症性脳症の感覚機能異常においてはNR2BサブユニットがIL-1Rの発現上昇に関わり、重要な役割を果たしていることが本研究により初めて分かった。 発表:以上の結果は、第36回日本神経科学学会(H25年度)、および京都大学主催の研究発表会にて研究発表を行った。今後論文発表を行うべく、データの検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階において研究実施状況は順調に推移している。当初の研究計画書の通り、本年度は、H25年度に検討した敗血症性脳症の病態解析方法に基づき、研究を行い、グルタミン酸受容体の病態への関わりと治療介入方法を検証することができた。また、本年度にいたる研究成果は、学会発表および国際的な査読付き英文誌3報(うち主論文1報、関連論文2報)に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度以降では、次第に見え始めた敗血症性脳症の病態メカニズムを足掛かりに治療介入の探索を行う。具体的には、生きた丸ごとのマウスを用いた生理学的解析を行い、炎症性マーカーや脳機能に関わるマーカーを用いて分子レベルから病態解明を行い、治療介入方法をさぐる。共同研究先である大阪大学イメージングセンターが現在、工事中であるため分子イメージングの測定開始の遅れが予想される。このため、コリン作動性抗炎症性経路賦活化による治療介入効果の電気生理学的研究を同時に行い、研究が予定通り進展しなかった場合の対応とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題はH28年度まで予定されており、来年度の研究事業に必要であるため 繰り越し分を加えた724千円を計上し、主に研究遂行上必要な消耗品購入に充てる。消耗品の内訳は、研究に使う動物(マウス)、抗体などの試薬が主である。そのほか、論文査読・掲載料なども必要である。
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