研究課題/領域番号 |
24592737
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
藤田 基 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50380001)
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研究分担者 |
鶴田 良介 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30263768)
小田 泰崇 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40397998)
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キーワード | 頭部外傷 / 脳挫傷 / 軸索損傷 / HMGB1 / オリゴデンドロサイト / 壊死 |
研究概要 |
平成25年度は、昨年度に引き続き、ラット頭部外傷モデルの脳組織におけるHMGB1の局在について解析を行った。 昨年度の結果、受傷直後に脳挫傷の周囲の神経細胞と軸索損傷周囲のオリゴデンドロサイトの細胞質にHMGB1の発現を認め、経過と共に減少することを明らかにした。また、電子顕微鏡を用いて細胞質にHMGB1を持つ神経細胞が壊死性の変化をきたしていることも明らかにした。昨年度中に明らかになった内容については、第41回日本救急医学会総会学術集会で発表を行った。 平成25年度は、さらに細胞質にHMGB1を持つオリゴデンドロサイトの形態的変化の解析を行った。脳切片をHMGB1で免疫染色し、細胞質にHMGB1を発現したオリゴデンドロサイトの形態的変化を電子顕微鏡を用いてい行った。その結果、細胞質にHMGB1を持つオリゴデンドロサイトも神経細胞と同様、壊死性の変化をきたしていることが明らかになった。このことから、受傷早期の細胞質内のHMGB1は神経細胞だけでなく、オリゴデンドロサイトにおいても壊死のマーカーとなることが明らかになった。この内容については来年度に、米国サンフランシスコで開催されるthe 32nd Annual Symposium of the National Neurotrauma Societyで発表する予定である。 なお、スーパーオキシドラジカルに関しては、測定用センサーが入手できずデータ収集ができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スーパーオキシドラジカル測定用センサーが入手できず、スーパーオキシドラジカルの測定ができていない。今後供給が再開されるかは未定である。 また、HMGB1の局在解析に時間がかかり、薬物療法等の検討ができていない。これに関しては来年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24-25年度の結果からHMGB1が受傷早期の壊死のマーカーであることが明らかになったため、HMGB1の抑制を主眼に置いた治療法の確立を行う。 具体的には、HMGB1抑制効果があるリコンビナントトロンボモジュリン、グリチルリチンを用い、頭部外傷による脳挫傷・軸索損傷が軽減できるかを検討する。脳保護効果が確認できれば、脳低温療法との組み合わせにより、脳保護効果が増強できるかの検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、脳組織におけるHMGB1の局在について解析に時間がかかり、またスーパーオキシドラジカル測定用センサーの入手ができなかったことから動物実験の遂行が遅れ、未使用額が生じた。 未使用額については、平成26年度の研究費と併せて、主には実験動物(ラット)と動物実験に伴う消耗品、試薬類の購入に充てる。 また、平成26年度は研究成果の発表のため、国際学会(the 32nd Annual Symposium of the National Neurotrauma Society in San Francisco, California, from June 29 - July 2, 2014 )での発表を予定しており、研究費から旅費、参加費を出す予定である。
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