研究課題/領域番号 |
24592738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小田 泰崇 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40397998)
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研究分担者 |
藤田 基 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50380001)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 虚血再灌流障害 |
研究概要 |
ラジカルセンサーの供給が不安定となったため、H25-26年に予定していたビーグル犬を用いた脳低温療法に関するpilotスタディを前倒して行った。ラジカルセンサーは右心房に留置し、全身の虚血再灌流障害の総和としてのスーパーオキシドラジカルを測定した。すなわち、脳を起源とするものも含めた心停止後症候群の病態を反映する。心停止は右内頚静脈に留置したペーシングカテーテルをを用いて、10mV/2secで心室細動を誘発し、10分間行った。除細動(150J)を施行(除細動で心拍再開しない場合は心肺蘇生を行う)し、心拍を再開させた。スーパーオキシドラジカルの電極値は、心停止の間、心停止前の基準値と同等か、またはわずかに上昇した。しかし、心肺蘇生開始後あるいは心拍再開後に急激に上昇したことから、虚血部で産生されたスーパーオキシドラジカルが血中に放出され上昇したと推定された。除細動施行中、ならびに心肺蘇生の中断中は基準値近くまで低下することから、測定には一定の血液循環が必要である。心拍再開後、脳低温療法導入中に再度心停止し、脳損傷の程度の調節が必要と考えられた。また、ラジカル測定センサーは抗凝固処理が行われているが、血栓の付着から長時間の測定が困難であった。ラットによる測定は可能であることから、動物種による虚血再灌流後の凝固機能の反応性の違いによると考えられた。ビーグル犬では高度の過凝固状態になると推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25-26年度に行う予定であったビーグル犬を用いたpilot実験を前倒して行ったため、ラットを用いた実験の遂行に遅れが出ている。また、ラジカル測定用センサーの供給が遅延しており、全体的に動物実験の遂行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度のビーグル犬を用いたpilotスタディから、脳低温療法が導入可能な脳損傷レベルの調節と抗凝固の方策について改良を行う。また、ラット心停止モデルにおけるO2-・動態の解明と脳低温療法と薬剤の併用療法の有効性の検討を開始する。ラジカル測定用センサーの供給が遅れた場合でも実験は遂行し、バイオマーカーの測定ならびに組織学的検討を中心に行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画を変更(H25-26年度の実験を前倒し)したため、本年度に予定していたラット心停止モデルを用いたスーパーオキシドラジカル動態の解明と脳低温療法と薬剤の併用療法の有効性、ならびに併用療法がtherapeutic time windowに与える影響の検討に必要な消耗品(試薬・キット類、抗体)の購入を次年度としたことから、未使用額が生じたものである。また前倒して行った実験についても、ラジカルセンサーの供給の遅延、実験モデルの改良が必要で、脳低温療法と薬剤の併用療法の有効性の検討に必要な消耗品の購入を見送ったことも理由の一つである。この未使用額は、平成25年度に実施する動物実験ならびに消耗品(試薬・キット類、抗体)の購入充てる。また、平成25年度は、統計解析ソフトの購入、国内学会での発表を予定している。
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