研究課題/領域番号 |
24592740
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
安田 則久 大分大学, 医学部, 助教 (90537101)
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研究分担者 |
後藤 孝治 大分大学, 医学部, 講師 (10363558)
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キーワード | 急性血液ろ過 / 集中治療 / 急性炎症 / 臓器障害 / ろ過膜 |
研究概要 |
本研究のテーマは,急性期の臓器障害において頻用されている急性血液浄化療法における膜に着目した研究である。新規に急性期の血液ろ過透析における膜素材の開発を行うことを目標に実験を開始し,本年度が3ケ年計画の中間年度の2年目に当たる年である。昨年度までに順調に膜開発における基礎研究を開始しており,今後の新規膜素材の研究につなげるために,本年度は従来よりある膜素材の急性期での違いについて検討を行うこととした。 本研究は,当初の研究計画にはなかった研究であったが,従来より複数種類の膜素材が存在しており,この膜が急性期の血液ろ過透析においていかなる影響を与えるのか,また,異なる膜素材により血液ろ過透析後の全身状態や炎症状態に変化を与えるか否かについて検討を行うことが,より有効性の高い膜素材の開発を行う上で必要であり,何も基礎的なデータのない中で,やみくもに新規膜素材開発に邁進し,最終的にできた産物の有効性が確認できないといったリスクを低下させるために不可欠であると判断し追加研究をして検討を行うこととした。 本年度は,ラット急性炎症モデルとして当教室にて頻用しているリポポリサッカライド投与モデルを使用し,対外循環用カラムとして現在ヒト用としても使用されているポリスルフォン膜とエチレン‐ビニルアルコール共重合体膜との違いを検討した。結果,単にLPS投与有無の違いで膜表面に結合しているタンパク質が異なり,更に2つの膜の間でも表面に結合していたタンパク質が異なることを見出した。そして,膜表面を電子顕微鏡を用いて詳細に検討したが,それぞれの膜で,膜表面の電顕像が異なることもわかった。このことが,最終的にえたLPS投与24時間生存時間の違いとどのような関係があるかを現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究を行う中で,本研究を最終的に成功に導くために必要な基礎的データを取ることが優先順位として高いことに気づき,本年度その研究を計画し,遂行できたことは大きいと考えている。このように,柔軟な思考で実験を遂行できたことが,最終年度までに本研究の目標を達成する近道であると確信している。本年度に得られた貴重なデータをもとに,最終年度に向けて実験を更に加速していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本研究の最終年度として非常に重要な年度となってくる。本年度までの研究をさらに進めることが重要で,1)カラムの種類により重症病態で同じ血液浄化療法でも最終的な生存率が変わってくるメカニズムの解析2)得られた急性血液浄化療法において有利に働く膜のメカニズムをより強化する膜開発を中心に研究を組み,最終目標としていた体外循環用の新規膜素材を臨床現場にて使用できるような基礎的結果につなげていくことを目標に研究をより強力に推進していく予定である。 カラムの種類により重症病態で同じ血液浄化療法でも最終的な生存率が変わってくるメカニズムの解析が本研究遂行において重症な課題となるが,各種解析関係については第一に,現在大分大学において設置されているバイオラボセンターにおいて,実験に必要な大型機器の設置が進んでおり,昨年度同様本施設をうまく活用することで,実験を効率的に行うことを心がける。第二に,すでに当教室にて保有している実験機器を最大限駆使する。以上の基本方針のもと時間とお金の無駄を省き,研究年度内での完了をめざし実験を遂行していく。実験途中に生じた疑問点等については,大学内外の専門家に適宜アドバイスをいただきながら研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
基礎的なデータを集めることを優先し、メカニズムの解析を新年度に行う事にしたため 昨年度までの研究を更に進めるために、今まで得られたデータの解析を行い、そのメカニズムをより強化する事を予定している。 そのために、現在大分大学に設置されているバイオラボセンターに必要な大型機器の設置が進んでいるので本施設をうまく活用しつつ、当教室にて保有している実験機器を最大限駆使して効率的に幅広く解析を行う。また、大学内外の専門家からも適宜アドバイスをいただきながら購入物品等の検討も行い無駄のない研究を進めていく。そのため、前年度未使用額を使用する予定である。
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