ラット急性全身性炎症モデルとしてリポポリサッカライド投与モデルを使用し、200分の1スケールで作成した体外循環用カラムとして現在ヒト用としても使用されているポリスルフォン膜とエチレン‐ビニルアルコール共重合体膜との違いについて検討した。結果、単にLPS投与有無の違いで膜表面に結合しているタンパク質が異なり、更に2つの膜の間でも表面に結合していたタンパク質が異なることを見出した。そして、膜表面について電子顕微鏡を用いて詳細に検討したところ、それぞれの膜で膜表面の電顕像が異なることも分かった。次に、抗炎症効果、抗酸化作用が多数報告されているビタミンEコートポリスルフォン膜における違いを同様の系を用いて検討した。すると、ポリスルフォン膜とエチレン‐ビニルアルコール共重合体膜に比べて、膜表面に付着物が少なく、血球成分の活性化や付着タンパク質の増加が抑制された。 以上より、最終目標とした新規の急性血液濾過透析における膜素材に必要な要素として、ビタミンE等の抗炎症・抗酸化能を有した膜表面が急性期の血液浄化を行う上で有効であることが分かった。今回の研究結果は今後の本分野発展に寄与できるものと確信している。
|