研究課題/領域番号 |
24592741
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
日高 正剛 大分大学, 医学部, 助教 (00404385)
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研究分担者 |
野口 隆之 大分大学, 医学部, 教授 (90156183) [辞退]
北野 敬明 大分大学, 医学部, 教授 (20211196)
萩原 聡 大分大学, 医学部, 講師 (50527661) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 血液浄化療法 / 臓器傷害 / ビタミンE |
研究実績の概要 |
最近の研究において,急性期の臓器傷害が増悪する過程には酸化ストレスが大きく関与することが指摘されており,当教室からもその重要性を報告してきた。しかし,酸化ストレス制御に特化した治療法はいまだ確立しておらず,新規治療法の開発が望まれる。そこで本研究のテーマは,血液浄化療法を利用した酸化ストレス制御を目的とした新規治療デバイスの開発とした。 研究期間を通じた研究成果として,まず挙げられるのは,新規ビタミンE誘導体であるLypoil-Vitamin Eの合成に成功したことである。さらに,その抗酸化能は,従来の抗酸化薬に比べて強いことが示された。そこで,治療的効果を評価するためにLPS誘発ラット全身性炎症反応モデルにおいて,Lypoil-Vitamin E の病態改善効果を検討した。結果として,経時的な血清中サイトカイン濃度の抑制ならびにLPS投与後の各種臓器の傷害度の抑制効果が確認され,Lypoil-Vitamin Eが強力な抗炎症効果と臓器保護効果を併せ持つことが示された。 上述した成果を基に, Lypoil-Vitamin Eをコートした新規カラムの作成とラット体外循環モデルでの有効性を検討した。新規カラムは,従来のポリスルホン膜血液浄化カラムの中空糸の膜内部にLypoil-Vitamin Eを均一にコートして作成した。次に,LPS誘発ラット全身性炎症反応モデルにおいて,ヒト用ポリスルホン膜血液浄化カラムを200分の1に縮小したミニカラム,もしくはLypoil-Vitamin Eをコートした新規ミニカラムを用いた体外循環を行い,その有効性について検証した。結果として,酸化ストレスの軽減による経時的な血清中サイトカイン濃度の抑制,ならびにLPS投与後の各種臓器の傷害度の抑制効果が確認できて,新規カラムの急性期臓器傷害に対する治療効果が示された。 以上より,当初目的としていた血液浄化療法を利用した酸化ストレス制御のための,新規治療デバイスの開発はおおむね成功できたと結論付けられる。
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