研究概要 |
現在までに、ADAMTS13ノックアウトマウスを用いて脳虚血再還流実験を行い、ADAMTS13が脳虚血再還流時に生じる血栓形成と炎症を抑制して脳梗塞を軽減させることを見出し(Fujioka M, Nishio K, last author, 他14名:Blood. 115(8):1650-3, 2010)、続いて心筋梗塞モデルを用い、ADAMTS13ノックアウトマウスとワイルドタイプを比較することにより、ADAMTS13が心筋梗塞を軽減することを見出した(Doi M, Nishio K, 他11名:Thromb Haemost. Dec;108(6):1236-8, 2012)。さらに本年度は盲腸結紮穿刺による腹膜炎の敗血症モデルを用い、ADAMTS13によるDICや多臓器不全軽減効果を検討しているが、予想に反しADAMTS13ノックアウトマウスよりワイルドタイプの方が致死率が高く、ADAMTS13は炎症を増大させる可能性が示唆されている。いままでの炎症モデル(脳虚血再灌流や心筋梗塞モデル)では、ADAMTS13は抗炎症作用を発揮していたが、今回の敗血症モデルではADAMTS13は抗炎症というより炎症を増大する作用が認められ、今までの炎症とは逆の結果が出ている。現在はそのメカニズムを明らかにするため、免疫染色などを用い検討中である。またいろいろな炎症パターンでのADAMTS13の影響を観察するため、四塩化炭素をマウスに投与して生じる急性肝障害へのADMATS13の影響を観察中である。 また人の敗血症におけるADAMTS13の影響を観察するため、ADAMTS13値と多臓器不全などの重症度と比較検討を行った。
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