動物モデルで大腸菌Lipopolysaccharide(LPS)による敗血症導入によって,尿量の減少と血清クレアチニン値の上昇があり,敗血症性急性腎障害が誘導された.敗血症性急性腎障害では糸球体が多く存在する腎表層の酸素分圧の変動は少なく,糸球体の組織学的変化はなかった.一方,尿細管間質が存在する腎深部の酸素分圧は変動が大きく,組織学的変化も認められた.しかし,血圧の低下と酸素分圧との間に有意な相関は無かった.LPSによる敗血症では,敗血症性急性腎障害の主因は尿細管障害で,必ずしも虚血(酸素分圧の低下)のない状態でも尿細管障害が誘導されることが分かった.
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