研究課題/領域番号 |
24592755
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
藤谷 茂樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50465457)
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キーワード | 院内急変対応チーム / Rapid response system / 医療安全 / 疫学研究 |
研究概要 |
研究の骨子は、アンケート調査、院内心停止調査、RRSオンラインレジストリの導入である。 [アンケート調査]院内急変対応の現状と予期せぬ院内死亡に関するアンケート調査を行なった。全国の病院職員を対象に職種を問わず、医療職だけでなく事務職も含め施行した。2014年2月の時点で127施設、1064名からの回答を得た。2013年度には、国内学会報告で2演題を発表した。 [院内心停止調査]院内心肺停止症例の多施設共同研究の2013年度3月31日現在の参加施設は、10施設である。第41回日本集中治療医学会学術集会の中間報告では、6施設の症例は143例、平均年齢72歳、生存退院は13例(9%)であった。この症例でCode statusは、DNRが12%あり、DNRであっても心肺蘇生が行われている事が判明した。又、コードブルー要請がかかった症例は11%で、コードブルーが整備されていても必ずしも有効活用されていない。全症例の中にPreventable deathが13%含まれており、医療安全上問題有りとされた症例が4%と存在していた。心停止前にバイタルサインの変化の兆候が見られた症例は48%あった。これはRRS介入で予後を改善しうる潜在的症例であり、RRSを導入するための我が国独自の医学的根拠となる。2013年度には、国内学会報告で2演題を発表した。 [RRSオンラインレジストリ]各施設のRRS起動症例のde-identificationしたデータを、UMIN-インターネット医学研究データーセンター(INDICE)症例登録を用いオンライン登録を2014年1月より開始した。現在、参加施設13施設 登録症例総数282例(2014/4/27現在)、参加予定施設14施設となっている。9施設が登録しており、そのうち4施設が400床以下の中小規模病院である。2013年度には、国内学会報告で2演題発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
院内急変対応の現状と予期せぬ院内死亡に関するアンケート調査を行い、得られた回答を集計した。また、院内心肺停止調査を行い、RRS介入で予後を改善できる潜在的症例の割合を得た。これは、我が国のRRS導入の医学的根拠となる。 さらに、RRSオンラインレジストリを導入し、各施設のRRS起動症例のデータをオンライン登録可能にした。 以上より、当初の計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
[アンケート調査]今後、更なるアンケート調査を行いRRS導入施設と非導入施設の比較、あるいはRRS導入前後での比較を行い、論文作成を行なう予定である。 [院内心停止]院内心停止に関する研究への、参加施設が合計で11施設になる予定であり、最終報告として、2014年10月開催の日本救急医学会総会にて報告予定である。その後に、英語論文作成をする予定である。日本臨床救急学会の患者安全検討推進委員会の小委員会で、藤谷班と日本臨床救急学会学会の後援で、院内心停止オンラインレジストリを作成し、今後、RRSの普及とともに、導入施設で院内心停止に関するアウトカムがどのような変移をきたすか調査する予定である。 [RRSオンラインレジストリ]現在、RRSに関する情報を公開、共有するためにホームページを制作した。この中で、RRSオンラインレジストリのサイトも公開している。現在、成人の院内心停止のオンラインレジストリも製作中である。今後は、小児対象のRRSオンラインレジストリや院内心停止オンラインレジストリにも対応できるようにしていく。藤谷班は、患者安全検討推進委員会の小委員会であるRRSワーキンググループの委員長であるため、今後このプロジェクトを、臨床救急医学会で公認としてもらい。全国共同行動とも協力し、これらのオンラインレジストリを日本全国に普及し、中小規模病院のデータ集積を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度内に使用した費用の一部の支払が事務上の手続きの関係で遅れてしまい、平成26年度の予算で支払うことになったため。 また、当該年度に作成したWebページの管理やメンテナンスの費用と、得られた成果を国内学会、国際学会で発表するための旅費に計上するため。 平成26年度は研究成果を国内学会、国際学会で発表することがメインとなるため、多くを旅費として使用する。 また、当該年度に作成したWebページの管理やメンテナンスの費用として支出する予定である。
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