研究概要 |
敗血症ショック患者を中心に検体を採取している。採取時期は0日、3日目、7日目の三回行っている。末梢血中のCD34+細胞はFACSにて測定を行っている。CD34+細胞は7AAD-, CD45dim、CD34+でgatingを行い、数が調整されたbeads入りのスピッツを用いることによりその絶対数を計測している。再生関連mediatorとして血漿中vascular endothelial growth factor, angiopoietin 1及び2,CXCL8,CXCL12をELISAにて測定中である。 現在得られた結果によるとCD34+細胞は0日目に最も低値であるが以後徐々に増加してくる。しかしながら予後の悪い症例ではその増加が認められない。同様な傾向はvascular endothelial growth factor, angiopoietin 1及び2でも認められている。これらの結果を総合すると、敗血症性ショックでは血管内皮細胞障害が認められるためその修復目的として骨髄から前駆細胞の放出が生じる。末梢血液中に遊離してきた血管内皮細胞前駆細胞は急性肺障害を生じている肺血管内皮細胞などに 到達し、障害内皮細胞と置き換えられ血管内皮細胞の修復に寄与していると推察される。その際血中濃度の高まった再生因子が骨髄からの前駆細胞の誘導、分化を促進させていると考えられる。現在症例数を増やしてこれらデータの集積を図っている。
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