研究課題
本研究では末梢神経損傷によって起こる痛覚異常に中枢神経系でのニューロンの興奮性の変化やグリア細胞の活性化がどのように関与しているのかを三叉神経系や脊髄神経系で検討してきた。昨年度までに、末梢神経損傷後に起こる中枢2次ニューロンの興奮性の変化やカプサイシンの口腔内塗布による行動学的指標を検討してきた。最終年度である本年度は、神経損傷後の痛覚異常や中枢神経系でのニューロンの興奮性の変化に、中枢2次ニューロンにおける収斂投射が関与していることを三叉神経系と脊髄神経系で明らかにした。これは神経損傷後に、損傷を受けた神経の支配領域周囲の末梢部位に侵害刺激を与えるとともに、損傷を受けた神経に対して高閾値電気刺激を与え、それらの反応を侵害刺激伝達の指標であるc-Fosタンパクの発現とMAPキナーゼのひとつであるERKのリン酸化の2重蛍光染色で検出することで検討したものである。そして神経損傷後に末梢の神経支配を失った中枢2次ニューロンに本来の支配領域の周囲の末梢部位からの入力が増加していることが明らかとなった。これらの研究成果は学術雑誌3編に掲載された。さらに神経損傷後の中枢投射部位におけるミクログリアの活性化が、収斂投射および2次ニューロンの興奮性の変化を引き起こし、痛覚過敏等の痛覚異常の発症に関与していることをミクログリアに抑制剤であるミノサイクリンの効果を検討することにより明らかにした。この研究成果についても学術雑誌に掲載された。また本年度までに得られた結果を含めて、総説の一部を執筆する機会にも恵まれた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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