研究課題/領域番号 |
24592771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
宮崎 敏博 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10174161)
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研究分担者 |
森石 武史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 技術職員 (20380983)
馬場 友巳 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60189727)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 象牙芽細胞突起 / 骨芽細胞突起 / Runx2 / 免疫電顕 / マイクロアレー |
研究概要 |
本研究は、骨芽細胞分化に必須で、歯牙発生の初期にも発現し、申請者のこれまでの研究から骨芽細胞と象牙芽細胞の突起形成に関与することが示唆された転写因子Runx2と骨芽細胞・象牙芽細胞の分化マーカー分子について、免疫電子顕微鏡法による突起構造と発現パターンとの関連解析を行うとともに、分子生物学的に突起形成関連分子の検索を行って、骨芽細胞と象牙芽細胞の突起形成メカニズムを解明していくことを目的としている。 Runx2および骨芽細胞・象牙芽細胞の分化マーカー(オステオポンチン、オステオカルシン、ネスチン、象牙質シアロリンタンパク)の電顕免疫組織化学については現在、その方法論について検討中であるが、オステオポンチンとネスチンに関しては有効な結果が得られている。すなわち、Runx2およびオステオポンチン陽性の未熟な骨芽細胞における非突起形成、Runx2陰性・ネスチン陽性の成熟象牙芽細胞における突起形成が示唆されている。 一方で、突起形成が失われたTg(Col1a1-Runx2) マウスと突起構造を持つ野生型マウス間での発現遺伝子の変動を、形成期の骨と歯胚を用いて、マイクロアレイ解析を行い、現在抽出された変動遺伝子についてReal time PCRにより再現性を確認して突起形成関連遺伝子を検索中である。2週齢の下顎歯胚からマイクロアレー・Real time PCR解析に耐える良好なRNAを抽出でき、現時点で数種類の有力な候補遺伝子があがっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載したとおり、Runx2および骨芽細胞・象牙芽細胞の分化マーカーの電顕免疫組織化学については、未だ方法論的に検討中であるが、元来電顕免疫組織化学は抗体の善し悪しに大きく左右する上、本研究の素材である硬組織は試料作成の過程で脱灰操作を必要とし、抗原性の維持も難しい。それ故、方法論的な困難は想定の範囲内であり、進捗状況としては問題ない。また、マイクロアレーによる遺伝子解析も研究実績の概要に記載した様に問題なく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2週齢マウスの下顎からRNAを抽出し野生型群とTg群とに分けてマイクロアレイにより発現解析した変動遺伝子に関するReal time PCRによるその再現性チェックを進めていく。また、ウエスタンブロットによるそれらのタンパクの発現チェックも抗体入手が可能なものを用いて可能な範囲で行う。 そのうち、突起形成に関連すると考えられる候補因子について、in situ hybridizationおよび免疫組織化学を行い、突起形成期前後の細胞に関連して発現している因子を同定する。 一方で、Runx2、および骨芽細胞・象牙芽細胞分化マーカーの発現と突起形成過程との関連性に関する免疫電子顕微鏡解析も継続して行う。野生型マウスを用いて免疫電顕法の検討を行った後、Tgマウスと共に各種因子の動態を解析する。解析する因子は、24年度に引き続き、Runx2と細胞分化マーカー(オステオポンチン、オステオカルシン、ネスチン、象牙質シアロリンタンパク)について行い、発現パターンの突起構造形成過程との関連を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Real time PCR解析および免疫組織化学とウエスタンブロットに使用する抗体購入に高額な経費がかかるため、研究費は主として消耗品購入に充てる。有効な結果が得られれば随時、学会発表・論文作成に使用する。
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