研究課題/領域番号 |
24592773
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
豊野 孝 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10311929)
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研究分担者 |
豊島 邦昭 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10112559)
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (90291616)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
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キーワード | 味蕾 / アディポネクチン / AdipoR1 / 有郭乳頭 / 味覚受容体 |
研究概要 |
中枢においてアディポネクチンはレプチンと協調して摂食を調節していると考えられている。一方、味蕾においてはレプチンがレプチン受容体を介して甘味応答を調節していることが明らかになっている。しかしながら、アディポネクチンおよびアディポネクチン受容体(AdipoR1,AdipoR2)の味蕾での機能は明らかになっていない。本研究ではアディポネクチン受容体の味蕾での機能解明を目的として行った。昨年度までの研究で、AdipoR1が味蕾の味毛および味蕾の基底部近傍の細胞において発現していることを明らかにしている。そこで、本年度の研究ではマウス味蕾の基底部近傍にあるAdipoR1 発現細胞が、味蕾のどの細胞型に属しているかを蛍光2重染色法により調べた。 味蕾基底部各細胞型のマーカータンパク質として、GLAST(グルタミン酸トランスポーター ; I型細胞マーカー)、PLCβ2(ホスホリパーゼCβ2 ; II型細胞マーカー)、AADC(セロトニン合成酵素 ; III型細胞マーカー)およびShh(ソニックヘッジホッグ ; 基底細胞マーカー)を使用した。その結果、味蕾基底部近傍のAdipoR1 発現細胞において、Shh が発現していることが明らかになった。一方、I型、II型、III型の細胞マーカータンパク質との共発現は認められなかった。味蕾基底部のShh 発現細胞は、味蕾細胞の分化に関わっている。一方、アディポネクチンは、細胞増殖や分化においても機能していることが明らかになっている。従って、AdipoR1 およびShh 共発現細胞において、アディポネクチンはAdipoR1を介して細胞増殖や分化に関与している可能性が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では味蕾でのアディポネクチン受容体の機能解明を目的として行っている。本年度はAdipoR1のマウス味蕾での発現様式を調べた。 その結果、マウス有郭乳頭において味蕾基底部近傍のAdipoR1 発現細胞において、Shh が発現していることが明らかになった。一方、I型、II型、III型の細胞マーカータンパク質との共発現は認められなかった。味蕾基底部のShh 発現細胞は、味蕾細胞の分化に関わっている。一方、アディポネクチンは、細胞増殖や分化においても機能していることが明らかになっている。従って、AdipoR1 およびShh 共発現細胞において、アディポネクチンはAdipoR1を介して細胞増殖や分化に関与している可能性が推測された。 これらの研究の結果、マウス味蕾でのAdipoR1発現様式が明らかになったことから、おおむね順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
味蕾におけるアディポネクチンおよびAdipoR1の機能解析を以下の内容で行う。(1) 味蕾でのAdipoR1発現量が、摂食状態に応じて制御されているかを調べる。(2)味覚感受性は摂食状態により変化することから、絶食条件による甘味、苦味、酸味およびうま味の味覚受容体の発現量の変化に関しても調べた。(3) 肥満マウスへのアディポネクチン投与による甘味感受性への影響を調べる。
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