研究課題/領域番号 |
24592774
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (90291616)
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研究分担者 |
豊島 邦昭 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10112559)
豊野 孝 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10311929)
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (40316154)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
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キーワード | 味蕾 / 転写制御因子 / Mash1 / 発生・分化 / セロトニン / GABA |
研究概要 |
我々はこれまでにbHLH型転写因子のMash1が味蕾の3型細胞において、セロトニンおよびGABAの合成酵素の発現に必須であることを明らかにしてきた。本研究では、酸味・塩味の受容を行っているマウス味蕾の3型細胞がもつ生物学的特性の解明を目的として、3型細胞が合成しているセロトニンならびにGABAの味蕾での機能の解析と味蕾細胞(特に3型細胞)の分化に関与する転写因子の探索を行う。 今年度は前年度に引き続き、味蕾におけるセロトニン・GABA受容体のサブタイプの発現検索と味細胞の分化に関わる転写因子の検索を目的として、 RT-PCRならびにPCR-arrayを行った。前年度に有郭乳頭上皮において高発現が認められたセロトニン受容体の5HT1bとGABA受容体のGABAA受容体γサブニットの味蕾細胞における発現を検索した。その結果、5HT1bとGABAA受容体γサブニットはともに味蕾の2型と3型細胞で発現している事が確認された。また、PCR-arrayの結果から、ホメオボックス型転写制御因子のDlxの中で、Dlx2とDlx5の発現が、有郭乳頭上皮において味蕾を含まない舌上皮に比べて、約5倍から20倍の発現が認められた。現在、Mash1ノックアウトマウスにおけるDlx2とDlx5の発現の変化を検索中である。さらに、前年度に有郭乳頭上皮において高発現が認められたNGN2とMath2についてプローブを作製して、in situ hybridizationにて味蕾での発現を検索したが、Math2の発現が味蕾の一部の細胞と基底細胞において確認された。現在、味蕾のマーカーと2重染色を行って、味蕾におけるMath2発現細胞の同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していたセロトニン受容体・GABA受容体の検索・PCR-array による検索で結果を得られることができ、期間中の実験計画はほぼ目的を達成できたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1.味蕾のおけるセロトニン・GABA受容体の発現の検索 ①前年度に引き続き、その他のセロトニン受容体・GABA受容体のサブタイプの発現をRT-PCR法で検索する ②①において味蕾で発現が認められたセロトニン・GABA受容体の味蕾における局在をin situ Hybridization、免疫染色を用いて検索する。特に発現が認められた受容体が、味蕾のどの細胞型に発現しているのかを各細胞型のマーカー(gustducin, PGP9.5, NCAM, serotoninなど)との2重染色により確認する。 2.味蕾細胞の分化に関わる転写制御因子の検索と機能解明 ①前年度に引き続き、PCR-arrayを用いて味蕾細胞の分化に関係する転写因子の検索を行う。 ②転写因子の発現ベクターの作製: これまでに発現が認められた転写因子の中で、発現ベクターが存在すれば供与を依頼、存在しなければ発現ベクターを作製する。 ③初代培養舌上皮細胞を用いた転写因子の機能検索: 作製した発現ベクターを用いて初代培養舌上皮細胞に転写因子を強制発現させる。転写因子を強制発現させた上皮細胞と舌咽神経節から単離した神経細胞を共培養し、上皮細胞と神経細胞間で神経回路の形成がin vitro条件下において再現できるか検索する。舌咽神経との共培養により、上皮細胞に味細胞のマーカーや味受容体の発現が誘導されるか検索する。 3.味蕾におけるセロトニン・GABA の機能検索 ①セロトニン・GABA がどの味刺激によって、3型細胞から放出されるのかを検索する。 ②味覚伝達におけるセロトニン・GABA の機能の検索
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