研究課題
我々は味蕾細胞の分化におけるMash1の機能に注目して、Mash1ノックアウトマウス軟口蓋味蕾における味細胞マーカーの発現や転写因子の発現変化を検索した。これまでの研究でMash1が、味蕾の中でⅢ型細胞の分化に関与していることが、推測されており、味蕾Ⅲ型細胞におけるセロトニン合成に関わる脱炭酸酵素である芳香族L-アミノ脱炭酸酵素(AADC)の発現に、Mash1が必須であることを示してきた。本研究では、さらにGABAの合成酵素の1つであるGAD67の発現変化についての検索を行った。Mash1ノックアウトマウスとGAD67-GFPマウスを交配させたマウスの軟口蓋の味蕾ではGAD67の発現が完全に消失していた。また、中枢神経系ではGAD67の発現には、Mash1→Dlx→GAD67のカスケードの存在が知られている。Mash1ノックアウトマウスの軟口蓋の味蕾ではDlx5の発現が消失していたことから、GAD67の発現は味蕾においても中枢神経系と同様な転写制御因子のカスケードが存在していることが示唆された。培養舌上皮細胞にMash1を強制発現させて、Realtime-PCRで遺伝子の変化を検索すると、AADCとGAD67の発現がそれぞれ20倍、13倍と増加しているのが観察された。また、Dlx5を強制発現させると、AADCとGAD67の発現がそれぞれ13倍、17倍と増加していた。しかしながら、Dlx5を発現させてもMash1の発現には差をみることはできなかった。このことから、味蕾のⅢ型細胞におけるAADCとGAD67の発現調節には、中枢神経系と同様にMash1からDlx5のカスケードが存在している可能性が推測された。
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