研究課題/領域番号 |
24592775
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
木村 重信 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10177917)
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研究分担者 |
根本 優子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10164667)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | SLPI / 感染制御 / P. gingivalis / プロテアーゼ阻害作用 |
研究概要 |
分泌型白血球プロテアーゼインヒビター,SLPIは粘膜系での病原微生物に対する感染防御を担う自然免疫として機能する生体因子であることが示唆されている. 我々はこれまでの研究から,歯肉上皮細胞がSLPI産生細胞の一つとして機能すること,そのSLPI産生はP. gingivalis の感染刺激を通して反応性に増強されることを明らかにした.また,SLPIがジンジパイン(Kgp)活性を阻害する可能性を示唆する成績を得た.本研究は,我々が発見した新規のP. gingivalis のプロテアーゼ[Glu/Asp 特異的ジペプチジルペプチダーゼ (DPP)11]を含め,SLPIによるプロテアーゼ阻害という面から,SLPIによるP. gingivalis 感染抑制作用の詳細について明らかにすることを目的とする.当初の研究実施計画に基づいて研究を実施し,本年度(H24年度)は以下の成績を得た. 1.リコンビナントSLPI(rSLPI)の発現と精製rSLPIの調製:種々の発現ベクター系を用いて,rSLPIの発現と精製rSLPIの調製を試みたが,これまでのところ,十分量のリコンビナントタンパク質を精製するまでにはいたっていない. 2.DPPIV, DPP7,PTP-A の野生型および変異型組換え体の作製と酵素学的検討:我々のこれまでの研究実績(Ohara-Nemotoら;2011)を踏まえ,DPPIV,DPP7の組換え体の作製を完了した.PTP-Aの組換え体の作製は現在進行中である.今後,DPPIV,DPP7,PTP-A の野生型および変異型組換え体の発現精製系を作製し,1 残基置換法により,それらの酵素学的特性と基質特異性決定機構を明らかにする予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究実施計画のうち,rSLPIの調製については,種々の発現ベクター系を導入し,ようやくリコンビナントタンパク質の精製のめどが立った.一方,DPPIV, DPP7,PTP-A の野生型および変異型組換え体の作製については,PTP-Aの組換え体の作製が若干遅れているものの,ほぼ順調に研究が進行している. 当初の研究実施計画の「3.SLPIによるDPPIV,DPP7,DPP11,PTP-Aに対する阻害活性の検討」および「4. SLPIのP. gingivalis プロテアーゼ阻害特性の検討」については.rSLPIの調製およびPTP-Aの組換え体の作製に時間がかかっていることから,次年度に実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では,調製したrSLPI を用いてP. gingivalis プロテアーゼ混合系でのrSLPIの阻害活性およびP. gingivalis 増殖抑制作用について検討を開始する予定であったが,平成25年度には,十分量のrSLPIの調製をまず急ぐことにより,研究計画の達成を図る. SLPIによるDPPIV,DPP7,DPP11,PTP-Aに対する阻害活性および阻害特性の検討についても,rSLPIの調製が必須となるが,もしPTP-Aの組換え体の作製が完了した時点で十分量のリコンビナントタンパク質が得られていない場合には,市販のヒトrSLPIを用いて研究を開始する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度分の繰り越しがあるが,これは精製rSLPIの調製,PTP-Aの組換え体の作製が現在進行中であることによる.そのため,平成24年度分の繰り越し分と平成25年度分の研究費を合わせて平成25年度の研究を実施する.
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