研究課題
本年度(H26年度)は当初計画に基づいて,分泌型白血球プロテアーゼインヒビター(SLPI)によるプロテアーゼ阻害という面から,P. gingivalis 感染抑制作用について検討し以下の成績を得た.①2.5μg/cultureのSLPIの添加により,P. gingivalis の菌体結合型のRgp,Kgpの酵素活性が有意に阻害された.②0.25μg/cultureのSLPI添加によってもRgp,Kgpの酵素活性阻害が観察されたが,高濃度のSLPI添加の場合より,その阻害作用は弱かった.③0.25μg/cultureのSLPIによる菌体結合型Rgp,Kgpに対する阻害作用は,Rgpと比較し,Kgpに対して強かったが,いずれもpHが高い場合に強い阻害効果がみられた.④菌体遊離型のRgp,Kgpに対しては,菌体結合型Rgp,Kgpの場合と比較して,SLPIによる阻害活性は弱かったが,SLPIが高濃度の場合あるいはpHが高い場合に阻害効果が見られることが示唆された.⑤一方,P. gingivalis のジンジパイン以外のプロテアーゼである DPP4, DPP5, DPP7およびDPP11に対しては,SLPIはその酵素阻害活性を示さないことが強く示唆された.⑥SLPIは, P. gingivalis のジンジパイン同様,トリプシンのRgp活性,Kgp活性に対し,阻害活性を示した.以上より,Rgp, KgpはともにP. gingivalis の生存・生育に関わる重要な機能を担っていることを勘案すれば,口腔においてSLPIは,そのプロテアーゼ阻害作用を通じて,P. gingivalis に対する感染防御に働いている可能性が強く示唆された.
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