研究課題/領域番号 |
24592776
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
藤原 尚樹 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20190100)
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研究分担者 |
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (80326694)
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キーワード | Rho-ROCK signaling / 歯根形成 / ヘルトビッヒ上皮鞘発達 / タモキシフェン誘導型トランスジェニックマウス |
研究概要 |
1,タモキシフェン(TAM)誘導型トランスジェニック(Tg)マウスの作成.TAM誘導型RhoAならびにROCKのドミナントネガティブ(DN)マウスを得るために、新生仔マウスに対するTAM投与の試適条件の検索を行った結果、背部皮下に30~50μl(濃度30μg/ml)のTAMを投与することでDN特性を発現した個体が得られることが明らかとなった。 2.TAM誘導型TgマウスによるRhoAとROCKの作用.Tgマウスに対して、生後(PN)3日から3日連続あるいはPN8日から3日連続でTAMを投与し、最終投与後5日後にジェノタイピングをすると共に、マウス頭部の固定・脱灰・パラフィン包埋を通報に従い行った。これまでに一部の試料の解析を行ったのみであるが、RhoA-DNマウスから得た下顎第一臼歯の組織学的特徴を対照群と比較した結果、エナメル芽細胞の丈が低くなると共に配列が乱れていた。また、歯根伸長の開始期にみられる特徴であるヘルトビッヒ上皮鞘(HERS)伸長がDNマウスで短く抑えられ、歯根伸長も半分程度に抑制されていた。 3,器官培養によるRhoAのinhibitor (Y27632)ならびにactivatorの効果.PN5(歯根形成開始期)とPN9(歯根伸長期)のscl:ddYマウスの下顎第一臼歯歯胚を、歯根形成期の観察のために独自に開発した器官培養システム(Fujiwara et al. 2005)で培養を行った。Y27632を培地に添加して培養したPN5ならびにPN9の歯胚において、顕著な結果が得られ、対照群に比較し、培養7あるいは14日の歯胚の歯根形成が阻害され、歯根が短くかつHERSの典型的な2層の細胞層もみられなくなっていた。 これらの結果からRhoAは歯根形成の誘導に関わるHERS発達に作用すると共に、歯根形成においても、重要な調節作用を持っていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タモキシフェン誘導型トランスジェニックマウスの新生仔に対するタモキシフェンの投与条件の検索に予想以上の時間がかかったが、皮下投与の条件も明らかになり、ようやく試料の獲得が可能となり、その解析も開始することができた。また平行して行っていた器官培養によるRho signalingの解析は、オリジナルの培養システムを用いたことから順調に実験とその解析を進めることができたので、おおむね順調に伸展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はドミナントネガティブマウスにおいて、また器官培養系からの試料においても併せて、形態学的解析を進めると共に、細胞増殖や細胞骨格の配列に対する影響、その他ヘルトビッヒ上皮鞘(HERS)など歯根形成の調節に関わる組織に発現している調節因子などの発現の変化などについて、(免疫)組織学的解析を行う。さらにHERS細胞からの樹立株を用いた、機能解析・分子生物学的解析を行うことで、細胞骨格に対するRho signalingの作用がヘルトビッヒ上皮鞘や歯根形成に及ぼす作用機序について検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画通りに研究を遂行していたが、2300円が残金として残ってしまった。額が小額であるため、次年度交付金と合わせて、試薬等の購入に当てた方が効果的に当該研究に使用できると考えた。 この残金は次年度交付金額と合わせて試薬等の研究に必要な物品の購入に当てる。
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