研究課題/領域番号 |
24592777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
中村 雅典 昭和大学, 歯学部, 教授 (50180394)
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研究分担者 |
野中 直子 昭和大学, 歯学部, 講師 (20307052)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 造血 / hemal node / bisphosphonate / 骨髄 / 脾臓 / 肝臓 |
研究概要 |
窒素含有ビスフォスフォネートは強力な破骨細胞による骨吸収を抑制する薬剤である。我々なこれまでにこの窒素含有ビスフォスフォネートのマウスへの投与により、貧血を起こすことなく、骨髄での赤血球造血を消失させ、脾臓での髄外造血を誘導することを報告してきた。これまでの結果をふまえ、本研究では脾摘マウスに溶血性貧血誘導後、窒素含有ビスフォスフォネートを投与することで、末梢血中に有核赤血球の出現とHemal Node様構造の誘導という結果を得た。この結果は、成体内で一次造血と二次造血が共存していることを強く示唆する。Hemal Nodeに関しては、これまでヒツジやウマでの報告はあるが、マウスでの報告はない。さらに、これまでの報告ではHemal Node での造血の報告もない、したがって、本研究で得られたこのHemal Node様構造はこれまでのものとは機能的にも異なる組織であることが強く示唆される。したがって、本研究では、この我々が開発した系を用いて、髄外造血の主たる場である肝臓とHemal Node様構造における造血動態を機能構造学的に詳細に解析する。すなわち、赤血球が有するグロビンタンパクの解析をすることで、このグロビンが胎児型であるのか成人型であるのかの検証、グロビン発現に絡む因子の解析について、それぞれの造血巣において解析を行うと共に、各造血組織における組織学的解析を血液細胞、ストローマ細胞、造血に関与する諸因子の解析を進め、成体内における造血の新しい可能性を提示する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脾臓摘出マウスにbisphosphonateとphenykhidrazineを投与することにより、貧血ならびに髄外造血を安定して誘導できるようになった。この系を用いて、骨髄、肝臓、hemal nodeにおける赤血球造血におけるグロビンタンパクの遺伝子解析を進め、胎児型のグロビンが誘導されることを突き止めることが出来た。また、成人型から胎児型へのスウィッチにKLF1,2やBCL11a等の関与を示唆する結果も得ることができた。これらの結果は、今後の研究遂行のために非常に有益は結果である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの結果を基に、本年度はhemal nodeの組織学的構造の詳細な解析とこの新たに誘導された組織における髄外造血に関与する液生因子、接着因子、転写因子等についても詳細な検討を進める予定である。また、胎児型グロビンを発現するにいたる造血細胞が一次造血巣から誘導された細胞であるのか、あるいは本体成人型グロビンを発現する二次造血巣由来の造血細胞が胎児型グロビンの発現をするという変換を示すのかについて検証するための実験系の確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
Hemal Node様構造の組織学的解析は、前年度の肝臓における髄外造血解析と同様の方法で、誘導されたHemal Node様構造について解析を行う。また、これまでの報告ではリンパ管の存在は否定されていることから、LIVE-1等のリンパ管マーカーを用いてリンパ管の存在の有無についても解析を行う。 Hemal Node様構造様構造における造血因子、グロビン遺伝子プロファイル、造血関連転写因の解析については、肝臓における解析と同様に、遺伝子解析を行い、その結果をもとに免疫組織学的、超微形態学的に造血巣の構造解析を行う。髄外造血誘導の経時的解析は、肝臓における髄外造血巣の形成、ならびにHemal Node様構造での造血巣の形成を上記の方法を用いて、髄外造血誘導に関与する細胞の機能変化ならびに各遺伝子の発現オーダーを経時的に解析することで、本髄外造血誘導に必須の遺伝子や条件の決定を試みる。Colony Formation Assayは肝臓およびHemal Node様構造から造血細胞を分離し、Colony Formation Assayで各臓器に侵入した血液細胞群がどのステージの分化状態にあるのかについて解析を行う
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