これまで我々が得て来た結果、すなわち、1.肝臓における髄外造血(主として赤血球造血)の誘導、2.末梢血中での有核赤血球の出現、3.Hemal Node様構造の出現という3点について詳細に解析を進める。 Hemal Node様構造が誘導されない個体においても1と2の所見は常に得られていることから、基本的に肝臓における髄外造血が誘導されることは計画である。したがって、最初に肝臓における髄外造血について解析を行う。肝臓における髄外造血と末梢血中への有核赤血球の出現は、成体において一次造血が誘導されていることを強く示唆するものである。一次造血と二次造血におけるヘモグロビン遺伝子の発現が異なることが明らかになっている。したがって、髄外造血におけるヘモグロビン遺伝子発現プロファイルの解析を行うとともに、肝臓における髄外造血の場とストローマ細胞、関連因子についても解析を行う。 Hemal Nodeとは、反芻動物にのみ存在するリンパ器官であり、リンパ節と類似の内部構造を有するが、輸入リンパ管および輸出リンパ管は存在しない。血管と連絡しており、リンパ洞内および髄質内にはリンパ球の他に赤血球が存在するが、造血についての報告はない。したがって、マウスに誘導された本構造がこれまでに報告されている構造と同等の構造と機能を有しているかについて、詳細な組織学的、免疫組織学的解析を行うとともに、本構造内での造血動態についての解析を進める。 以上の結果をもとに、成体における一次造血と二次造血の共存、新規造血巣誘導に関わる細胞とその微小環境を明らかにする。
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