研究課題/領域番号 |
24592778
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
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研究分担者 |
菊池 有一郎 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (30410418)
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70453785)
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キーワード | Polymicrobial infection / Periodontal disease / Biofilm / Quorum sensing |
研究概要 |
歯周炎の発症には、デンタルプラークバイオフィルム中のPorphyromonas gingivalisをはじめとする歯周病原性菌が重要な役割を担っている。本研究では、バイオフィルム形成における特定細菌間の相互作用とそれに関わる分子の解析を目的とし、前年度の解析によってFusobacterium nucleatumとのバイオフィルム形成に相乗効果の認められたCapocytophaga ochraceaのバイオフィルム形成について解析を加えた。 C. ochracea のAI-2産生に関わるluxS, Por分泌機構を形成するporT, 本菌のglidingに関わるsprBの欠損株をhomologous recombinationにより作成し、そのバイオフィルム形成をクリスタルバイオレットによる染色および共焦点レーザー顕微鏡によって比較した。AI-2欠損株については、Two compartment systemを用い、0.2 µmのフィルターを介して野生株と欠損株を共培養し、欠損株のバイオフィルム形成を解析した。 C. ochraceaのluxS 欠損株のバイオフィルム形成量は、クリスタルバイオレットによる染色による測定では有意に低下していた。共焦点レーザー顕微鏡による解析では、欠損株のバイオフィルムは、高さが野生株よりも厚みのある部分と薄い分が混在する不整な形態を呈していた。このバイオフィルム形成の変化は、野生株由来のAI-2によっては補完されなかった。そのため本菌のバイオフィルム形成にluxSは関与するものの、その作用は、菌体外に遊離されるAI-2によるものではなくluxS 欠損によるactivated methyl cycleの障害によるものと考えられた。これらの結果から、本菌の産生するAI-2は、本菌自体には影響を与えず他の菌種に影響を与える可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の菌種でのバイオフィルム形成の変化について、昨年の現象論からその因子の解明に内容が進みつつある点からおおむね順調に進行いると考えている
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた欠損株を用いて実際のバイオフィルムを想定したpolymicrobial biofilm モデルを作成し、その中で菌種間コミュニケーションの影響を検討していく。
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