研究課題/領域番号 |
24592784
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
中島 和久 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (90252692)
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研究分担者 |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
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キーワード | 骨芽細胞 / 細胞分化 / 転写因子 |
研究概要 |
本研究は、骨特異的転写因子Osterix(Osx)による骨形成制御の分子メカニズムを解明することを目的として、Osxに結合してその活 性を調節するcoactivatorsの同定とその相互作用の分子生物学的解析を目指している。Osx遺伝子の破壊は骨形成を完全に抑制することから、Osxは骨芽細胞分化に必要であることが判明している。しかし、分子生物学的解析からOsxの転写活性可能は著しく低いことが判明している。そこで、研究代表者はOsxに結合してその転写活性を調節する共役因子が存在すると仮説を立てて候補分子の同定を試みた。既知の分子群の解析から、いくつかのOsx結合タンパク質の候補を得た。候補分子群から3種類の候補因子Osx coactivator 1(OSC1)と Osx coactivator 2(OSC2)、ならびにp300について解析を進めている。 Osxの転写活性化領域のGal4融合タンパク質とGal4結合領域を持つレポーターを作成して転写活性可能を測定すると、2種類の候補因子Osx coactivator 1(OSC1)と Osx coactivator 2(OSC2)、さらにp300はOsxと共存するとOsxの活性を相乗的に促進した。OsxのN末端は転写活性化を担うと考えられる。in vitroの解析から3種類の候補因子は全てこのN末端を介して転写の活性化に関与することが判明した。興味深いことに、OSC1とOSC2はもう1つの骨形成に必要な転写因子Runx2の転写活性には影響しなかった。 研究代表者は、OsxがCol1a1遺伝子の発現に関わることを見いだしている。比較的長いCol1a1遺伝子の転写制御領域を用いたレポーター解析からOSC1とOSC2はOsxの転写活性を相乗的に活性化することが判明した。現在、詳細な結合部位の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OSC1とOSC2の局在を免疫組織化学的に同定しようと試みているが、良好な抗体の入手が困難なため、mRNAの同定を試みている。 遺伝子改変マウスの遺伝学的解析からOsxがCol1a1遺伝子の骨組織特異的発現に関与する事が判明している。そこで、比較的長いCol1a1遺伝子の転写制御領域を用いたレポーター解析を行うと、Osxはレポーター遺伝子の転写を活性化した。加えて、2種類の候補因子OSC1とOSC2とp300はOsxの転写活性を相乗的に活性化した。研究代表者は、OsxがCol1a1遺伝子の転写調節領域にて相互作用するか否かをクロマチン免疫沈降法にての検討を企画しているが、この領域の基礎的解析は進んでおらず、Osxによる調節機構にも不明な点が多い。Col1a1遺伝子のプロモーター領域には動物種を超えて保存されているいくつかの領域がある、この領域をふくむ遺伝子断片はOsxによるCol1a1遺伝子調節に関わることが判明したが、より詳細な結合部位の解析がやや遅れている。研究代表者は研究分担者の二藤彰らと筋肉分化におけるヒストン修飾酵素の機能解析を進めている。クロマチン構造の解析手法の習熟から得た知見をOsxの機能解析に還元したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1. OSC1とOSC2のmRNAの組織内分布の同定を試みる。 2. C2C12細胞株はBMP2刺激、あるいはOsxの強制発現にて骨芽細胞様の分化形質を獲得する。またC3H10T1/2細胞株ではOsxの強制発現 によりCol1a1やオステオカルシンなどの骨芽細胞の分子マーカーを発現する。この2つの細胞分化モデルを用いて、OSC1とOSC2の発現の変動を追求する。 3. Col1a1の遺伝子発現調節領域におけるOsx結合領域をクロマチン免疫沈降法にて同定する。研究代表者は研究分担者の二藤彰らと筋肉分化におけるヒストン修飾酵素の機能解析を進めている。クロマチン構造の解析手法の習熟から得た知見をOsxの機能解析に還元したいと考えている。この解析系の樹立を先行させた上で、抗OSC1/OSC2抗体と抗Osx抗体によるクロマチン免疫沈降法を行い、免疫沈降物に含まれる遺伝子断片よりCol1a1遺伝子のOsx結合配列を増幅して、OSC1/OSC2がOsxを介してプロモーター領域に結合するか否か解析したい。 4. 骨芽細胞株およびC2C12細胞にOsx、Runx2、およびOSC1/OSC2を強制発現させて、骨芽細胞が豊富に合成分泌するI型コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質の内在性遺伝子の発現レベルの変動を、RT-PCRおよびnorthern blot法により解析することにより、骨特異的転写因子Osx、Runx2両因子とOSC1/OS C2の相互作用による骨芽細胞分化機構を解析したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は野生型Osxが形成する複合体に特異的なタンパク質をTOF/TOF法にて質量分析して、Osx複合体の構成要素を明らかにすることを予定していたが、細胞株の性質を維持したまま恒常的かつ安定的に2因子を発現する細胞株を得ることが困難であり、タンパク質精製をふくむ解析の遂行が遅延した。そのため次年度使用額が生じた。 Osxが形成する複合体に特異的なタンパク質をTOF/TOF法にて質量分析することから、Osxを含む複合体の結合部位を同定することにより集中する。これらの研究手法を遂行する為に細胞培養液と血清、培養器具などの細胞生物学的試薬、各種抗体やwestern blot法に必要な生化学的試薬、ならびにPCR法とnorthern blot法に必要な分子生物学的試薬が必要であり、これらの試薬類の購入に研究費を使用する計画である。 加えて、生体における各種転写因子の組織分布の検討を目的として、マウスを用いた組織学的解析をすすめる。この為にマウスの購入と飼育に研究費を使用する計画である。転写因子群の組織分布を解析するにあたっては、上記の抗体を利用した免疫組織学的解析を導入する。この為に必要な組織学的試薬の購入にも研究費を使用する計画である。
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