研究実績の概要 |
平成26年度は、1. 牛ラクトフェリン(bLF)のペプシン処理生成物による破骨細胞分化、2. 好中球による細胞分化調節機能に関して検討を行った。 実験1において、経口投与したbLFは、胃や腸で分解されることが推測される。bLF経口投与後、血液中のLF濃度は、変化しなかったが、腹腔投与では、LF濃度の上昇が見られた。この所見より、経口投与したbLFは、腸から吸収されるまでに分解することが示唆された。タンパクは、胃でタンパク質分解酵素であるペプシンによって、加水分解をうけるため、ペプシン処理をしたbLFの破骨細胞分化に与える作用について検討した。bLF溶液にペプシンを加えて、37℃で6時間インキュベーションすることで、bLFが分解されることをウエスターンブロッティングにより明確にした。骨髄マクロファージとRANKL刺激による破骨細胞分化系にペプシン処理bLFを加えると、破骨細胞分化を阻害した。また、卵巣摘出マウスに対して、ペプシン処理bLFを腹腔内投与を行うと、骨量減少が抑制された。一方、bLFを腹腔内投与したマウスの骨量は、生食を投与したコントロールのマウスと有意な差は得られなかった。以上の結果より、bLFは、破骨細胞分化に対して、bLFは直接的に作用するのではなく、吸収前に分解されることで、効果的に働くことが示唆された。 実験2において、チオグリコレート誘導好中球を腹腔滲出液より回収し、破骨細胞分化実験に用いた。次の条件下で破骨細胞分化誘導を行った。(1) 好中球、骨髄マクロファージ、骨髄間葉細胞の共存培養、(2) 好中球培養上清で培養、いずれの実験においても、破骨細胞分化は抑制され、破骨細胞分化マーカーであるNFATc1, cathepsinK, Calcitonin Receptorの発現を抑制した。
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