研究課題
聖マリアンナ医科大学で発見されたSDラット系列から自然発症した軟骨石灰化不全ラット(Cartilage Calcification Insufficient rat, CCIラット)は全身性の軟骨石灰化が遅延することから、関節軟骨や軟骨結合における軟骨内骨化が遅れる。しかし形成される骨には影響はなく、この奇形ラットの特徴は軟骨内石灰化の制御不全であることがわかった。これは形成される軟骨の肥大または増生が強いこと、あるいは形成された軟骨の吸収不全による骨化の遅れの二面性があることが形態学的に予想された。一方で、SDラット系列からの自然発症頻度が25%の浸透率であることから、常染色体劣性遺伝形式であることが予想された。そこで、その原因遺伝子としての候補を探ると同時に病態変化の機序を探るため、軟骨組織から採取した組織塊のcDNAマイクロアレイを行い、有力な候補遺伝子を検討した。その結果、軟骨形成に必須のインディアンヘッジホッグシグナルの一部の遺伝子で異常な亢進がみられ、Gli1遺伝子についてはreal time PCRとin situ hybridization法のいずれの方法でもGli1遺伝子の異常産生が進んでいること、そのmRNA発現が通常のラットに比べて亢進していること、またBrdUの取り込んだ増殖層の軟骨細胞数も多いことから、肥大増生が亢進していることが明らかとなった。これらの結果に関連して、軟骨内骨化におけるアポトーシスと破軟骨細胞による石灰化軟骨の吸収についても考慮する必要が出てきた。今後は原因遺伝子の関連性をさらに検索して責任遺伝子の解明を進めるとともに、病態変化の解明にも着手する予定である。
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Experimental Animals
巻: 2 ページ: 14-0072
14-0072
http://scw.asahi-u.ac.jp/~patho/staff/index.html#staff02