研究課題/領域番号 |
24592792
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
研究代表者 |
菅 三佳(岸本三佳) 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 特任研究員 (00340448)
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研究分担者 |
金 美海 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30506449)
古江 美保 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究リーダー (80257310)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 末梢神経 / 神経堤 / ヒトiPS細胞 |
研究概要 |
無血清・無フィーダー・単層培養下における増殖因子、細胞外マトリックス、低分子化合物ライブラリーの効果をスクリーニングし、ヒトiPS細胞由来神経堤細胞から末梢神経への分化への影響を検討することを目的とし、研究を遂行した。 平成24年度には、具体的には、(i)種々の細胞外マトリックスで処理をしたマルチウェルプレート培養面上で、複数株のヒトiPS細胞(201B7、iPS-TIG114-4f1、及びTic)の単層培養をおこない、さらに様々な種類・濃度・組み合わせのサイトカイン・増殖因子を添加し、神経堤細胞・末梢神経への分化誘導をおこなった。細胞培養観察装置による継時的生細胞観察で、分化誘導過程の個々の細胞の形態変化を追った。さらに、分化誘導後3日後、7日後および14日後の細胞におけるNestin等の神経幹細胞マーカー遺伝子、及び神経堤・神経関連遺伝子の発現を免疫染色により検討した。(ii)複数株のヒトES細胞(H9、 Shef3、及びShef6)を用いて、上記の再現性を確認し、細胞株間の神経分化効率の差異を比較した。 以上の検討をおこなったところ、無血清・無フィーダー・単層培養下のヒトiPS細胞及びヒトES細胞から神経幹細胞、神経堤・末梢神経への分化誘導に適した培養面の条件、及び添加因子(サイトカイン・増殖因子の種類・濃度・組み合わせ)の条件が明らかになった。また、検討したヒトiPS細胞及びヒトES細胞株の中から、増殖因子、細胞外マトリックス、低分子化合物ライブラリーの効果をスクリーニングし、末梢神経への分化への影響を検討するために適した株を選択した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養面の検討、細胞株の検討など、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(i)これまでに検討した無血清・無フィーダー・単層培養下のヒトiPS細胞及びヒトES細胞から神経幹細胞、神経堤・末梢神経への分化誘導方法では、様々な細胞が混在した状態で誘導されることが、細胞培養観察装置による継時的生細胞観察で明らかとなった。今後は、さらに均質な神経堤細胞集団を得て、高効率に末梢神経へと分化誘導させるために必要な分化誘導因子を同定するための検討を進める。 (ii)グルコース提示型デンドリマー培養面の開発及び作製をおこなう。これまでに選択した末梢神経への分化誘導実験に適した細胞株と分化誘導因子を用い、作製したグルコース提示型デンドリマー培養面上で分化誘導をおこなう。 (iii)グルコース提示型デンドリマー培養面を用いて、末梢神経へ分化における細胞内シグナルカスケードを同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
末梢神経へ分化における細胞内シグナルカスケードを同定する。 インテグリンは、細胞外マトリックスと結合し細胞接着に寄与しているが、さらに細胞内ではERKやPI3Kカスケードを活性化し、細胞増殖や細胞分化も制御している。従って、分化誘導因子による刺激は細胞外マトリックス-インテグリンシグナルとも相互作用している。分化誘導因子からの細胞内シグナルカスケードを同定するために、グルコース提示型デンドリマー培養面を用いて解析を行う。具体的には、グルコース提示型デンドリマー培養面を用いて前年度に同定した分化誘導因子を添加して5分、15分、30分後に細胞を回収し、リン酸化シグナルをELISA Systemを用いて同定する。同定したシグナルカスケードのインヒビターを作用させ、末梢神経への分化誘導が抑制されるかを確認する。
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