研究課題/領域番号 |
24592793
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
|
研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
黒瀬 雅之 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40397162)
北川 純一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50373006)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 嚥下 / 嚥下誘発支援装置 / 嚥下障害 |
研究概要 |
申請者らは、ヒト咽頭領域の電気刺激により、嚥下を誘発するシステムを開発した。このシステムを利用して、非侵襲型の嚥下誘発支援装置を開発することが我々の研究の最終目的である。本研究はその第一段階として、動物で装置の効果を検証することと、ヒトで電気刺激開始のトリガーとなる生体信号を非侵襲的に検出するシステムを確立することを目的とする。24-25年度に動物でトリガー信号とする嚥下誘発支援装置を作成し、その効果を嚥下障害モデル動物で確認すること、26年度にヒトで近赤外光スペクトロスコピー(f-NIRS)とECGの同時記録を行い、ヒトにおける最適なトリガー信号源およびその記録法を確立することを目的としている。24年度は嚥下誘発のトリガーとなる生体信号を大脳皮質から取り出すこと、同時に反対側皮質にシートタイプ低侵襲型ECoG多点電極を設置し、その他の皮質部位からも嚥下誘発のトリガーとなる信号を取り出すことを試みることが目的であった。これまでに、動物実験では有力なトリガー源と考えていた大脳皮質咀嚼野の外側部から細胞外電極を用いてフィールド電位を記録することに成功し、同部位から低侵襲型ECoG多点電極でも嚥下関連電位を記録できることを健常動物で確認した。現在はその他の皮質部位からのトリガー信号源を検索している。また、ECoGの耐用期間や、脳の感染などの危険を考慮して、非侵襲的なECGを用いてトリガー信号を検出できるに越したことはないため、頭蓋骨の大脳皮質咀嚼野相当部に慢性的な脳波電極を設置し、ECoGで記録した電位と時間関係のある脳波の検出を試みている。さらに、26年度のヒトでのトリガー信号源の検出に向けて、f-NIRSを用いてヒト随意嚥下時の前頭前野活性を調べる実験に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24-25年度に動物でトリガー信号とする嚥下誘発支援装置を作成し、その効果を嚥下障害モデル動物で確認することが当初の予定であり、24年度中にECoGを用いて大脳皮質咀嚼野外側部から嚥下関連電位を記録できた点については予定通りである。ただ、嚥下障害モデル動物の作成はやや遅れており、この点はスピードアップが必要である。その一方で、当初最終年度で予定していたヒトでの嚥下トリガー電位の検索に着手できた点は、当初の予定を上回っている。以上を勘案すると「おおむね順調」と評価してよいと思う。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度で検出に成功した大脳皮質咀嚼野外側部以外の大脳皮質部位からの低侵襲型ECoGを用いた嚥下関連電位の検出、低侵襲型ECoGで嚥下関連電位が記録された脳部位からの非侵襲型脳波電極を用いた嚥下トリガー信号の検出を引き続き進める。さらに次年度に遂行予定のヒトからの嚥下トリガー信号の検出に向けた実験も継続して行う。また、嚥下障害モデル動物の製作が難航した場合には、慢性的な嚥下障害モデルではなく、大脳皮質の可逆的な冷却によって急性的な嚥下障害モデルを用いた実験も視野に入れる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
動物実験にかかる消耗品に加え、ヒトを用いた実験も遂行する予定であるので、ヒトを用いた実験に必要な消耗品や被験者への謝金、加えて学会発表と資料収集のための旅費として研究費を使用する。
|