研究課題
ヒト咽頭領域の電気刺激により嚥下を誘発するシステムを利用して非侵襲型の嚥下誘発支援装置を開発することことを視野に、動物で装置の効果を検証すること、ヒトで電気刺激開始のトリガーとなる生体信号を非侵襲的に検出することを目的とした。動物実験では健常動物の大脳皮質咀嚼野の外側部から細胞外電極を用いてフィールド電位を記録することに成功し、同部位から低侵襲型ECoG多点電極でも嚥下関連電位を記録できることを確認した。嚥下関連電位が記録された大脳皮質咀嚼野の外側部を破壊したところ、一過性に動物の摂食行動が障害され、食物の摂取自体が困難となり、嚥下障害の有無が確認できなかった。この障害は数日~一週間程度認められたが、この障害から動物が回復した後の摂食行動を電気生理学的に検証したところ、明確な嚥下障害を観察することはできず、当初予定していた嚥下障害モデル動物の作成が難航し、結果として嚥下障害モデル動物での咽頭電気刺激の効果の検証は断念することとなった。一方、ヒトにおける実験では、ヒトでのトリガー信号源の検出に向けて、近赤外光スペクトロスコピー(f-NIRS)を用いてヒト随意嚥下時の前頭前野活性を調べる実験を行い、嚥下機能評価で用いられるRSSTと同様の随意性繰り返し嚥下5回を加算することで、5名中3名の被験者で右側外側前頭前野に有意な酸素ヘモグロビン濃度の上昇を認めた。26年度はさらに6名の被験者で実験を行い、4名で同様の部位に有意な酸素ヘモグロビン濃度の上昇を認めた。そこで、随意性繰り返し嚥下で右側の外側前頭前野の活性化が認められた被験者について、単発の唾液嚥下を行わせ、10回の試行の前頭前野活動を加算することでトリガー信号源となり得る明確な活動が得られるかを検証した。その結果血液中の酸素ヘモグロビン濃度変化をとらえるf-NIRSでは明確な嚥下関連活動変化を認めなかった。
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